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パターソンのKYのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.9
ジム・ジャームッシュ監督作。

ニュージャージー州パターソンでバスの運転手をしているパターソンは、朝、妻のローラにキスをすることから始まる変化のない毎日を過ごしている。そんな日々の中でパターソンは、周囲の会話やマッチ箱といった何げない物事に着想を得た詩をノートに書き留めていた。

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ジム・ジャームッシュと言えば登場人物の些細なやり取りの機微のミクロな視点を描くのが得意な監督だけど、今作はそれをより大きなマクロな視点で包括してる作品という印象だった。

少しの変化や起きた出来事を敏感に感じ取れるのは、毎日同じ様な生活を繰り返しているからこそ。ライフスタイルという大きな枠でオフビートを囲って表現しているのが今作だ。ミニマルテクノに近い表現。

それは生きるという事・万物を賛美する事でもあり同時に、詩人・創作活動に繋がっていると監督自身の創作の根源を垣間見る事もできる。もちろん人間のライフスタイルを美しく肯定するのみならず、時に理不尽やシュールが襲いかかるのも綺麗事に陥りすぎなくて良かった。

ただ結局主人公が日常を愛おしく思えるのは、朝起きたらイラン美人が隣で寝てる事の素晴らしさに尽きる。自分は日常を美しく捉えようと思っても、ああは美しくは描こうとは思えない。
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