踊る猫

パターソンの踊る猫のレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.1
法月綸太郎に倣って、この映画を「二の喜劇」と名づけることが許されるだろう。昼と夜をめぐる映画、地名としてのパターソンと人名としてのパターソンをめぐる映画、男と女、アボットとコステロ、ロミオとジュリエット、白と黒……二項対立を到るところに見出すことが出来る(その意味で、双子が重要な場面で登場するのは実に示唆的で、悪く言えばあざとい)。こうした交わりそうで交わらない対立関係が産み出すホットなドラマ性が、この映画を一見すると退屈な世間話のように思わせておいて、あとに無視し得ない余韻を残すものとして成立させているように思う。モノクロ時代の『ストレンジャー・ザン・パラダイス』からジャームッシュは変わっていない。平熱な映画で、観る人を静かに揺さぶる。シブい映画を観させてもらったとその味わいを十分に堪能した。だが、煙草を登場人物に吸わせないのは丸くなったからか?
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