パターソンが今日もパターソン市内を走る。路線バスを操る男だ。ガタイが良く鼻もでかい。でも意外にもポエマーだ。繊細な感性を持っているのかも。
パターソンにとって妻や同僚、犬のマーヴィン、ブリキの弁当箱、乗客の雑談話、行きつけのバーなど全てが愛おしい存在だ。
朝日を浴びる妻の寝姿が美しい。ベッドも寝心地が良さそうだ。永瀬正敏と不躾な質問をぶつけ合う日米詩人対決も興味深い。
胸が踊らない。ドキドキしない。胸糞しない。地味の塊のような作品だけど退屈はしない。
不思議な空間を漂っているようだ。これは作品自体もポエムに違いない。淡々と詩を読むように観るべし。そして寝落ちしてパターソンのように朝6時過ぎに起きるべし。