しゅんすけ

パターソンのしゅんすけのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.9
「パターソン」

 「ブラック・クランズマン」「マリッジ・ストーリー」でアダム・ドライバーの凄さを再認識し、本作を鑑賞。いやー、淡々とした映画だけどめちゃくちゃ好き。そして、アダム・ドライバーの、微細な表情の変化でみせる大袈裟でない演技が最高でした。

 映画を観て改めて思いましたが、アダム・ドライバーって、ものすごくガタイがいい。身長が190センチある上に、元々海兵隊だったからか、背中もガッチリしてて筋肉質。劇中にあった、若いときの軍服を着てる写真は、映画用に撮ったものなのか、それとも海兵隊時代のマジの写真なのか気になりました。

 毎朝ほぼ6時20分ぐらいに起き、シリアルを食べ、徒歩でいつもの道を通って通勤、バスの運転手として同じルートをたどり、昼休みは妻の手作り弁当を食べ、すき間時間で詩の制作。帰宅後、夕食を食べて、犬の散歩。行き付けのバーに立ち寄り、帰宅して就寝という完全にルーティーンが出来てるパターソンの生活。
 こんな生活を淡々と映すだけの映画なんですが、毎日に微細な変化や奇妙な出来事が起きており、「起きて、仕事して、飯食って寝るだけ」の日々のなかにあるいろんなことを発見しながら生きていかなきゃと思い、すごく心の癒しになりました。

 何もかもが習慣化し、自分を押し殺し、相手にあわせて生きているパターソンとは反対に、奥さんはいろんなことにチャレンジする、夢見がちな女性というのも面白い。毎朝、寝ている間に見た夢の話をパターソンにして、家庭菜園、カップケーキ販売、家の模様替え、新作料理、ギターに挑戦。パターソンに終盤おきる、ある不運な出来事は、妻の忠告を聞いていれば、まだ何とかなったもの。パターソンの妻の言動やアクティブさからたまには夢みて、それにむけてすぐ行動しなきゃいけないということも教えられました。

 人生の教訓を説教臭くなく教えてもらえるし、犬がかわいいし、小道具も洒落ているし、全編に渡って流れる不穏だけど美しい音楽もいいし、言わずもがなでアダム・ドライバーは最高だし、パターソンの奥さん役のゴルシフテ・シャラハニがめちゃくちゃ美人だし、監督のジム・ジャームッシュの「ミステリー・トレイン」に出演してた永瀬正敏が終盤に面白い役で登場するし(「a~ha」が頭にこびりつく)、すべてがどストライクな1本でした。ジャームッシュの過去作とか全部観てみようかなと思います。