——こう言う映画好きだ。
これが僕がこの映画を観始めた時、そして、観終えた時に真っ先に思ったことです。
この映画が描くのは、或る月曜日から日曜日までの一週間。
だけど、その間に特別な事は起こりません。
つまり、日常が描かれています。
主人公であるパターソンを演じるのは、アダム・ドライバー。
彼はバスの運転手であり、詩人です。
敢えて彼の特別なところを挙げるとするならば、とびきり穏やかなところと、スマホを持たないことでしょうか。
(演技の話を少しだけ挟むと、彼の見せる表情や雰囲気はとても深みがあって、今作においても、彼でなければこの作品は作れなかったのではと思う程素晴らしいです)
この映画が教えてくれることのひとつは、日々です。
“日々”
たったふたつの文字で表された言葉。
とても簡単な文字だけど、繰り返される毎日に、一度として同じ日はありません。
だけど、時々、僕等は同じ事の繰り返しだと考えることがあります。
だからこそ、この映画は毎日を描いたのだと思うし、何も起こらなかったのだと思います。
「そんな映画のどこが面白いの」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、観て下さい。きっと分かります。
とびっきりのラブストーリーやラブソングも良いのだけど、時にはそれ以外のことを描いたり、歌ったりするのも悪くない。
僕は、好きや嫌いだけでないことも大切にしたいとあらためて思っています。
特に映画は、色んなことを教えてくれますから。
もっともっと知りたいと思います。
色んな感性を。
観て良かった。