プライムゼウス

パターソンのプライムゼウスのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
4.8
もっとこの映画の世界に浸っていたい!『アメリ』と同系列といいますか、「村上春樹」の空気感とでもいいましょうか…。好き嫌いがハッキリする映画かも。
定番の「ハリウッド映画」という感じではないんです。田舎町に暮らすバスの運転手さん、彼と愛する妻とワンちゃんの一週間です。劇的に作られたドラマはないのですが、シンプルな暮らしの中の素敵なドラマです。
主人公の周りの人、妻は欲しいものが一杯あって、同僚は愚痴ばかり、犬をジャックされんなと怖いことをいう人もいる。でも、主人公は受け入れて「いいよ」とか「気の毒に」とか「楽しみがふえた」というだけ。
彼は自分の軸がブレない大木のような人。毎朝、安いカシオの時計をして、一人でコーンフレークをたべ、昼はベンチでサンドイッチ。仕事の合間に詩作にふける。夜は犬の散歩とバーでビールをのむ。
劇中に登場する「双子」が謎なんですが、同時にポイントだろうと思いました。ラストに登場する大阪の詩人(永瀬正敏)も指を二本まとめてテーピングしてます。どんな意味があるんだろう。人間の裏表? カップル? なんだろう。(永瀬さんのインタビューによると、ただケガをしていたらしいのですが…)
くせになる名作でした。