パターソンの作品情報・感想・評価 - 257ページ目

パターソン2016年製作の映画)

Paterson

上映日:2017年08月26日

製作国:

上映時間:118分

ジャンル:

4.0

あらすじ

ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラにキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に浮かぶ詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩。バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。そんな一見代わり映えのしない毎日。パターソンの日々を、ユニークな人々との交流と、思いがけな…

ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラにキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に浮かぶ詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩。バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。そんな一見代わり映えのしない毎日。パターソンの日々を、ユニークな人々との交流と、思いがけない出会いと共に描く、ユーモアと優しさに溢れた7日間の物語。

「パターソン」に投稿された感想・評価

micche

miccheの感想・評価

4.1
何気ない毎日には
みんな物語がある。

彼にとっては
どんな毎日も 愛おしい。

丁寧に 大切に
書き留めていく。

細かい演出をみていても
愛と優しさで溢れていて
改めて、監督さんの
お人柄と視点はステキだなぁと。
観終わった後にじんわりきました。
kiguma

kigumaの感想・評価

5.0
空白 (void)から生まれるひろがり

この映画には全く説明がない。

パターソン市でバスの運転手をしている主人公パターソンの日常。
画面には彼の過去をほのめかす手がかりがときおり登場するのだけど、それについての説明がまったく出てこない。

彼は、ただ、そこに、暮らして、生きている。

パターソンと彼の妻の関係もとてもおもしろい。

二人はとても仲睦まじいのだけど、面白いことに会話がまったく噛み合っていない。妻は妻の世界を生きて、パターソンはパターソンの世界を生きている。

合わせようとしていないし、理解しようともしていない。

ただ、相手を「あるがまま」に受け入れている。

写真を撮り始めたとき、とても印象的だったのは、「昨日まで普通に見えていた世界が、ファインダーを通すことで、まったく違う世界に見える」こと。

バスを運転し、詩を作るパターソンはまさにそんな雰囲気。
彼の目には世界はまったく違って見える。
だけど、彼はその世界をひとに見せない。

彼の妻は彼が作った詩を世間に発表したらと勧めるが、パターソンは頑なに誰にも作品を見せない。
われわれは、作ったものをシェアすることに慣れている。シェアすることが創作の原動力だと考える。だけど、彼にとって、作詞とは世界との単なる会話なのだ。そもそも俳句もそんなものだ。日記?がむしろ正しいのかも。

自分の作品を公表しないこと。それはつまり、表現は自分との対話であって、自分自身で満ち足りているということ。
そもそも自分が満足していれば、ひとの意見など気にすることもない。

Loveは自分の中の相手に向けた感情だけど、 Affectionは相手をそのまま受け入れる。


だから、この映画には説明がまったくないのかも。
そして、その空白のページ(void)があるから、この映画はどこまでも自由でここちよい。


いまの我々は自分に世界を合わせてしまう。だからしんどいのかもね。
疲れた状態で無理やり観たせいで…座った途端に寝ちゃった…ので、スコアはなしにしときます。あーもったいない!
つまらなかったわけでは決してないです。
その証拠に目覚めた後はめっちゃ集中できました。
後半を見る限りは好きな感じの映画です。
物語に起承転結を求める人には辛いかも知れないけれど…

詩を愛する穏やかで身近な感じのする彼と、魅力的なかわいい彼女と、いるだけでずるいくらい愛嬌ある犬様が織りなす日常。ドラマチックじゃなくても、くらしの中の小さな心の動きが拾えるような感じで、なんか観ちゃう感じです。

…前半は寝てたけど…。
また観に行きたいなー。

永瀬正敏さん好きです。
ちろる

ちろるの感想・評価

4.1
主人公パターソンはバスの運転手としてささやかで平凡な毎日を大切にかき集めるように彼は「秘密の手帳」に詩を紡いでいる。
創作活動に耽り、手抜きご飯の妻に大丈夫だよと声をかけるパターソン
「何か」になれると信じている妻を労うパターソン
毎朝見た夢を話す妻はパターソンがいつか詩人としてデビューできると信じている。
そんな妻ローラとパターソンは少しだけ凸凹だけど、自分とはちょっと違うタイプのローラを微笑ましく見つめるパターソンの瞳こそが「愛」そのもので、ある意味どんな激しいラブストーリーにも匹敵しない何か凄みを感じてしまうのだ。

何かが起こりそうな予感がしながらもほとんどドラマがないことにこれほど安堵したのは珍しい。
主人公パターソンはジム ジャームッシュ監督お得意のオフビート系の作品の主人公たちを少し遠くから見ていたような本当に普通の人間で、普通の物語では描かれない「間」を見つめて、詩を紡ぐようにこの作品を描いた監督の感性がとても好きだ。

日々侵食するように家中に増える妻の描く「○」はパターソンの終わらない、これからもループする平凡な日常を象徴しているかのようで、正直ゾワっとする。だけどそんな滑稽さも壊れないように、これ以上不幸にも幸せにもならないように・・・。
スマホを持たず、ペンとノートだけで、他人から見たら何も変わらないように見えて少しずつ形を変えていく日々を紡ぐパターソンの姿はいろんなものが削ぎ落とされてとても美しく、自分が汚れてるような気がして恥ずかしくなってしまった。

帰り道、渋谷のスクランブル交差点で集中豪雨に見舞われて、道路にはねつける水飛沫と、水が勢いよく流れる排水溝を見て何か詩を紡げるかと思っていたけど、「臭!」なんとも言えない雨に篭った都会の排水溝からの異臭のせいで何も浮かばないし、いや、そんなこと言い訳にするうは、一生パターソンやウイリアム カール ウイリアムズのような詩人にはなれないのだろう。

ともあれ明日はまた新しいのノートの1ページ。頑張って違う自分変わらなくてもいい。
毎日を今以上に大切に抱きしめて過ごそうと思えた作品に出会えて良かった。

余談ですがマーヴィン役のフレンチブル君、名演技でした。
愛おしくて憎らしくて、ブサイクで最高にキュートで、何気ない日常の映像にクスッと笑いをくれるので犬好きにはたまらないエッセンス。
NEMO

NEMOの感想・評価

-
身の回りの事をありのまま映せば、調性支配を受けない構造がうまれる。
忘却のワルツやな。
ミニマリズムがある種の覚悟をキメさせてくれる。

相変わらず脚韻なんて踏めば地雷と言わんばかりに、アイロニカルで一貫した美学がみえたよ。
新宿武蔵野館(1回目)
ヒューマントラストシネマ有楽町(2回目)
ジャームッシュということで良いものを期待していたけど、まさかジャームッシュの個人的ベストを更新するほどとは思わなかった

世の中には物語や人間関係の変化を描いてこそ映画だと勘違いする人物が誰とは言わないもののよく見ることからもわかるように物語映画ばかり古来から乱立され、純粋に映像で訴える作品が少ないことを日々憂いている身としては、日常生活のみをほとんど描き事件と呼べるものも三つしか起こらないものの実に魅力的で面白いこの作品は、ジャームッシュの記念すべきデビュー作であるストレンジャーザンパラダイス以上に尊いものとなった

それにしても、出演者である永瀬正敏もインタビューで話していたことだが、パターソンという町に住むバス運転手の詩人パターソンの一週間を、彼の見る風景や彼の聞く会話、彼の綴る飾らない詩と共に描いただけでここまで魅力溢れるものになるのが本当に凄く、ジャームッシュが稀代の天才映像作家にして芸術家であることを改めて思い知った

アダム・ドライバー演じるパターソンと同居する彼女、そして彼らの飼うブルドッグの生活も円満で幸せムード全開にも関わらず全く嫉妬心が湧かずにこのまま大きな不幸も起こらず末長く暮らしてほしいと素直に思えたのも不思議ながらも素晴らしい点で、おそらく彼らの他愛ない生活のみに焦点を当てたとしても半日以上は余裕で鑑賞可能だったろう

ちょくちょく出てくる様々な双子や彼女の可笑しな手作り衣装等茶目っ気のある要素の数々もジャームッシュらしい愛嬌が感じられて好印象だったのだけど、そういう意味で最も良かったのはラストにちょっとだけ出てくる前述の永瀬正敏で、あえて日本人にしなくてもいいところで久々に永瀬正敏を起用するだけでなく些細ながら重要な役割を持たせる点が良い意味でエゴイスティックでジャームッシュの人柄を感じほっこりした

他にも色々語りたいけどキリがないのでここらで切り上げるとするけど、兎にも角にもミニマルながら素晴らしい傑作で思いがけずオールタイムベストが更新されたことに歓喜したけど、審査員次第でパルムドールも受賞できたはずのこの作品がパルムドッグだけに止まったのは実に惜しい限りだ

とりあえず今度ウィリアム・カール・ウィリアムズの詩集読んでみることにしよう
Tak

Takの感想・評価

3.0
主人公とマーヴィン氏。もやもやしてしまいましたけど、言葉にならない感じが詩的でした(=ᴥ=)
何気ない日常のできごとにもっと目を向けてみようと思える作品。帰りの電車ではイヤホンを外して周りの音を聞きながら帰りました。

詩のことは正直よくわからず、あまりにもストーリーの起伏がないため終わってスッキリ面白かった!というものではありません。ジャームッシュは初めてでしたがこんな雰囲気なんですね。
町の名もバス運転手の彼(アダム・ドライバー)の名も、街角のそこらじゅうにもチラホラととにかくこれ「PATERSON」なんですよ。週末、金曜日。彼担当のバスが故障。ぞろぞろ降りるお客の中から「バス、ガス爆発」くらいのギャグが出ても良さそうなものの大事には至らず遂に土曜日の夜事件は起きました。あの犬、中に男が入ってますね。あれ完全に嫉妬ですよw。パターソンの彼女、可愛かったし。

彼の詩集ノートにどれだけの価値の文字が書かれているのかは分かりませんけど言葉は生まれた瞬間瞬間に死んでいくものでしょ?出来次第では見返すのがこっ恥ずかしいことだってあるはずです。その失意の中、日本人旅行者役の永瀬正敏から贈られる真っさらのノート、ちょっと話は出来過ぎですがここから彼が紡ぐ詩は今までとちょっと違ったものになるのではという期待を持たせましたね。

そんなことより数十年の時を経てジャームッシュ作品に再登場するなんて同い年で同じ九州出身、俳優永瀬正敏、天晴れでした。