パターソンの作品情報・感想・評価 - 309ページ目

パターソン2016年製作の映画)

Paterson

上映日:2017年08月26日

製作国:

上映時間:118分

ジャンル:

4.0

あらすじ

ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラにキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に浮かぶ詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩。バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。そんな一見代わり映えのしない毎日。パターソンの日々を、ユニークな人々との交流と、思いがけな…

ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラにキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に浮かぶ詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩。バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。そんな一見代わり映えのしない毎日。パターソンの日々を、ユニークな人々との交流と、思いがけない出会いと共に描く、ユーモアと優しさに溢れた7日間の物語。

「パターソン」に投稿された感想・評価

みい

みいの感想・評価

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何か夢中になれるものがある人はいいなと感じた映画だった。

単調なんだけどクスッと笑える箇所があって日々を切り取った優しい物語。

まあ、疲れた時に観るとちょっとウトウトする映画かも。

8月に鑑賞。
観終わってまる1日経つのに、映画を観ていたときの満たされた気持ちがずっと続いている。
こんな経験は初めてのことだ。

主人公パターソン(アダム・ドライバー)は同じパターソンという実在の街を巡回するバスの運転手だが、彼が書き留める詩の一行一行が、いまも耳に響いている。

この映画は、慎ましい生活の中にとても豊かなものがある事を教えてくれる。

これまで観た映画の中では「スモーク」や「バベットの晩餐会」の主題と重なるように思う。しかし、表現方法はこの2つの作品と大きく異なる。

「スモーク」と「バベットの晩餐会」は美しいクライマックスが象徴するように、巧みなストーリーで豊かなメッセージを伝えている。

一方、「パターソン」は小さなエピソードを積み重ねるものの、普段と変わらぬ1週間を映しとるだけだ。

監督のジム・ジャームッシュは、詩の言葉のようにパターソンと妻のローラ、愛犬マーヴィンの生活と街の情景を切り取っていく。

詩の言葉とは、個人の内面と向き合うパーソナルでささやかなものだ。
映画の中で語られる詩に、「世界は3次元でできている。奥行きと幅と高さ。つまりシューボックス」という表現が出てくるが、世界とシューボックスがつながるのは詩の言葉ならではだ。

では、ジム・ジャームッシュはどのようにパターソンの内面と世界をつなぐのか?
パターソンの運転するバスこそ、まさに世界の暗喩だと思う。ジム・ジャームッシュはバスを映像の言葉として書き留めていく。

パターソンという時代から取り残された街を走る巡回バス。そこにも人生の豊かさが確かにある。だが、それはなかなか分からない。誰かが表現してはじめてその豊かさに気づく。

パターソンは、映画に新しい表現をもたらす稀有な映画だと思う。1人でも多くの人にこの映画を観て欲しい。
ubik

ubikの感想・評価

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眼が心地いい。全然なんでもないところで涙が出た。犬を盗まれないようにな、と言われることや、奥さんがモノクロ映画好きで白黒つけるたちなこと、偶然の反復が、あいまいに機能するところが詩的だった。
運命の主題。双子=韻=詩人。

パターソンは少女の詩に、詩必ずしもは韻を踏んでなくてもいいという。ところがその詩にも中間韻はあった。パターソンインパターソン、ドライバーアズドライバーとして、意識せず韻を踏むこと。日常=意識しない のなかで韻を踏むこととは、そういうことだ。だから、世界は勝手に韻を踏んでいる=反復している。それに同期する人としての詩人。おそらく海軍帰りの彼の異常さは反復への欲求からくる。それも、犬によって助けられるんだけど。

もちろん、韻を踏んではいけないものもある。
今日、わたしはとても幸せ。
この愛すべき作品と出会えたから。
もともとジャームッシュが大好きで、過去作も見てきましたが、このパターソン、大好き!
めちゃくちゃ良い!

ルーティンの様に同じ様な繰り返しの毎日なのに、バスの運転手であり詩人であるという主人公パターソンの目を通した日常の愛おしいこと。

毎朝6時過ぎから6時半までに起床し、バスの車庫に出勤し、合間で詩をノートに綴りつつ1日運転し、夕方に帰宅、妻と夕食を済ませた後は愛犬の散歩に出かけ、バーに寄りビールを1杯飲む。
文字に書くと毎日同じだけど、起きぬけにベッドでする妻との短い会話、運転しながら聞こえてくる乗客の会話、妻のアートワークや新しい創作料理、通りやバーで会った人との小さな出来事など、反復する毎日の中にもその時々のささやかなエピソードがあり、それが淡々とゆったりと優しく描かれていて、そのささやかな幸せが愛おしくて涙が出そうになるくらい。

表情や言葉はとても控え目でおとなしいパターソンと、彼とは対照的にやりたい事やひらめきをどんどん形にして実現していくアグレッシブな妻の関係もすごく素敵で、妻の独特な感性やどんどん実行する勢いに面食らいつつも、そんな彼女を大好きだったり、妻も夫の書く詩を誰よりも評価し愛している、2人は正反対だけどまるでピッタリはまるパズルのピースみたいで、互いを大切に思う夫婦愛にとてもほっこりしました。
なんて魅力的なんだろう!

そして、主人公と同じ名前のパターソンの街も、かつては産業都市として栄えたものの、今は寂れた感じもあり、だけど、古びた煉瓦造りのバスの車庫や滝とその上を渡る鉄橋など、なんとも味わいがあってロケーションが素晴らしく、作品の世界に引き込まれました。

妻が見た双子の夢の話を聞いてから、やたらと街で双子が目に付いたり、妻のアートワークでもあるカーテンや壁の円の模様、同じ路線を回るバス、同じ時間に同じ場所で過ごす毎日、多種多様な人との出会いなど「円」や「繋がり」を感じさせます。

パターソンはスマホを持たないし、紙とペンで詩を書き、散歩する。
妻は服やカーテンや壁のペイントを手作業で作り上げ、カップケーキを焼き、ギターを弾く。
夕方には家に帰って、夫婦や自分の時間をゆったりと過ごす。
スマホの画面を見る事に時間を取られ、仕事の忙しさに疲れる自分の生活とは違う時間の流れ方があり、自分の手を使って何かを生み出すことの豊かさや、結果や成果や効率を求めるうちに気付かずに見過ごしてしまいそうな、ほんの小さな出来事が身の回りにはたくさんあって、そこについてくる喜びや驚きや発見や感動、悲しみが豊かに人生を彩っているのが、とても素敵でした。

その辺にいそうな何でもない様な人を、こんなに愛おしく優しくおもしろく描けるジャームッシュ、ほんとにほんとに大好きです!
たとえ私が詩を味わえる感性を持ち合わせてなくても、この作品を楽しめました。

アダム・ドライバーって、「スターウォーズ」や「沈黙」「ヤングアダルト ニューヨーク」を見た時には特に良いとは思わなかったし、「インサイド・ルーウィン・デイビス」や「フランシス・ハ」にも出てたみたいだけど印象に残ってなかったけど、今作で大好きになりました!
あまり表情や言葉に出さないのに、心にある声が漏れてきそうなちょっとした表情が絶妙に上手いし、その一瞬の表情や間から感情や相手との関係性がちゃんと伝わってくるんですよね。
永瀬正敏も最後にとても印象的な役で登場します。

ハプニングによって哀しみに打ちひしがれても、人との出会いによってまた新たに始まったり生まれたりする予感も優しくて良かったです。
あのまだ白紙のノートもまた丸い柄だったのも印象的でした。

もっと何回も見て描かれてるディテールを味わいたいし、咀嚼しきれなかった詩の言葉もゆっくりと噛み締めたいです。

104

2回目: 2017.9.8 シネリーブル梅田
106
山口

山口の感想・評価

4.0
生活だった。日々色んなものに囲まれて生き急いでる自分の毎日をちょっと見直したくなる。
これぞジム・ジャームッシュ!


怪獣なんて出てこないし、
戦争も起きない。
悪の組織は出てこないし、
正義のヒーローなんてのもいない。
叶わない恋もないし、
恋人との別れもない。
ライバルと競い合ったりしないし、
大切な人が死んだりもしない。

この作品はもっとシンプルで繊細で美しい。


スクリーンに映し出されるのは、日常。

1人のバスドライバーの人生の中のなんでもない、でも、かけがえのない7日間を追っかけた、ただそれだけの映画だ。

毎日同じことの繰り返しのような生活。
愛する妻と過ごす生活は、決して裕福ではない。
しかし、心の持ち方しだいで小さい幸せはたくさん見つけられるのだと感じる。

なんでもない日常をこんなに面白く美しく映画にできる監督はジム・ジャームッシュの他にいないのではないか。


ストーリーに大きな起伏はなく、もしかしたらウトウトしてくるかもしれないが、それもまたいいのかもしれないとすら思えてくる。(僕は眠くならなかったですが笑)

コーヒーを啜って。
ぼんやり映像が流れるのを眺めて。
パターソンの街並みに目を奪われて。
ジムジャーのユーモアにクスッとさせられて。
理想の2人にほんわかして。
ウトウトしてきて。
いつの間にか眠ってて。
なんて幸せな時間だろうか。
そんな映画もどうでしょうか。

そんな感じの映画でした。
ジムジャーが語るように、まさに「ダークでやたらとドラマチックな映画、あるいはアクション志向の作品に対する一種の解毒剤」的な作品でありました。


P.S.
バスの中で『ムーンライズキングダム』の2人がお話してて、ウェス・アンダーソンファンとしてはテンション上がりました。
ジムジャーはウェスのファンらしいですね!
粋なことしてくれるぜ!
R

Rの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

そもそもあの経済力でなんであの規模の家にペット付きで住めるのかが理解できないから日常描いてるとか言われても納得いかなくて、申し訳ないけどああいう夢の応援の仕方も意味がわからず気持ち悪い。
あと毎朝アラームなしで絶対同じ時間に起きれる人なんて本当にいる?やばい遅刻しちゃった!みたいなシーンずっと期待してた。そこで外してくれれば、まだ、ね。
こんなマイナスな感想しかでてこないのはきっと隣の人が意味のわからないビートを足でたたいて地響きで全く集中できなかったからだと信じたい
結城

結城の感想・評価

3.5
本当にほぼ毎日同じ生活の繰り返しだけど毎日起こることが違うのがリアルだな。不思議だけど癒される
バス運転手として毎朝同じ時間に起き、同じ道を走り、犬の散歩をして、いつものバーで同じビールを飲む
‬ささやかな幸せ、不幸であっても愛おしい一行‬
‪この映画を観た今日もそんな一行‬
詩を愛するバスドライバー、パターソンの日常。

パターソンが何気なく過ごす8日間をひたすらに描いた作品。山場と呼べる展開はないが、食らいついて見てしまう。我々の日常も他人から見たらこんなにも面白いものなのかもしれない。バクマンで「日常を面白く描けたら天才。でもそんなのは出来ない」と言っていたが、まさにこれ。すごい。

パターソンすげぇ良い男だなあ。彼女の全てを受け入れている。パイまずいけど言わない。こうありたい。