ぎー

ジェイソン・ボーンのぎーのレビュー・感想・評価

ジェイソン・ボーン(2016年製作の映画)
3.5
『あんたの組織へ?断る。』
ボーンシリーズ4作品目、グリーングラス特集4作品目。
個人的には旧三部作が完璧だったので続編は要らない気がするけど、グリーングラス監督とマット・デイモンは流石で、魅力的なアクション映画になっている!
もちろん面白かったしボーンの世界観も踏襲されてはいるのだけど、ちょっと悪く言ってしまえば、この映画は良く出来た普通のアクション映画になっちゃっていたかも。
これまでのシリーズはCIAの考え方や防犯カメラの仕組みを緻密に計算してボーンが動いたり、街の地図や時刻表を暗記して全てを計算づくで行動するところ、そしてそのプロセスを丁寧に観客に教えてくれるところが魅力的だったのに、一部その要素は残しつつも、他のアクション映画と同じようなハイテク機械や、ド派手なアクションによる魅力づけが強くなっちゃっていた。
スピード感とかはそのままだし、ド派手なアクションもとっても刺激的なので良いんだけど、折角のボーンシリーズなので、続編があるなら原点に回帰して欲しいな。

今回ちょっと感情移入出来なかった理由に、ボーンが巻き込まれる経緯が無理矢理すぎるところがある。
ニッキーは何故かCIAとは絶対に関わりたくないと言っているボーンを無理矢理巻き込んでしまうし、そもそもCIAが血眼になって探しても見つけられないボーンをあんなに簡単に見つけて良いのかな?

あと、ストーリー展開が大きすぎる。
24シリーズとかM:Iシリーズを見ている気分になっちゃった。
というか、CIAの行動が派手すぎる。
CESの最中に登壇者を銃殺するなんて、正気の沙汰じゃない。
作戦員のアセットも一般人はもちろん、CIA職員すら容赦なく殺害していて、そんなのを認めてるのは頭が本当におかしいと思う。

今回の舞台はアテネ、ベルリン、ロンドン、ラスベガス。
アテネのバイクチェイスは良かった。
ボーンシリーズの魅力そのままに、現代のテクノロジーを駆使して位置情報を指示する様子は刺激的だった。
と同時に今作の敵の刺客、アセットが常軌を逸した人物である事が明らかになる。

本作のヒロイン、リーが滅茶苦茶優秀で大活躍するのは良いんだけど、突然長官に見切りをつけて堂々とボーンの見方をし始める動機付けがよく分からないので、ちょっと感情移入が難しかったかな。
ロンドンでボーンが大好きな群衆で溢れた広場を作るために、あらゆる建物の火災報知器を作動させる仕掛けは良かった。

1番印象に残っているシーンは、ラスベガスでのボーンとアセットのカーチェイス。
ちょっと普通のアクション映画になってしまったとはいえ、やっぱり滅茶苦茶魅力的なカーチェイスだった。
発想も迫力もスピード感も爆発していた!

演出だけでなく、キャストも突然豪華になった。
ボーンシリーズと言えば美人が出てこないアクション映画だったのに、ヒロインのリーをヴィキャンディルが熱演。
デューイCIA長官をトミー・リー・ジョーンズが、アセットをヴァンサン・カッセルが演じる。
本当は黒幕感を出して欲しいのに、CIA長官とか情報長官が出てきすぎるのもリアリティを損なってたかも。
色々言っちゃったけど、十分に平均値を大きく上回るアクション映画なのは間違いない!

◆備忘ストーリー
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ジェイソン・ボーン_(映画)
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