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七月のランデヴーのSNのレビュー・感想・評価

七月のランデヴー(1949年製作の映画)
4.7
1957年の『大運河』(ロジェ・ヴァディルム)が「シネ・ジャズ」というムーブメントの先駆けといわれているが、なんだ49年のこの作品において、すでにベッケルが映画にジャズを持ち込み、それも見事なまでにエンタメに落とし込んでみせているではないか。いきなりRex Stewartが出てきて驚くが、当時の観客はさらに驚いたに違いない。今でいったらクラブで流れてるテクノとかハウスあたりか、ロックと同じく亜流のひとつとしか見做されていなかったこの黒人音楽がいかにパリの若者を虜にしていたのかがよく分かる。
この映画の中に見られる、演劇や映画の授業に出ていた学生たちが、のちにヌーヴェルヴァーグという革命を起こしたように、この作品が及ぼした影響というのは少なくないだろう。シャブロルのいとこ同士に継承される(あっちでは地下ではジャズではなく、博打やっていたが)主要なテーマの数々。モンパルナスの灯りでのジェラールフィリップを彷彿とさせるモーリスロネの疾走シーン。表題の瑞々しさもまたいい。
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