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東京1958のRのレビュー・感想・評価

東京1958(1958年製作の映画)
3.7
1958年の東京を外国に向けて紹介する感じのドキュメンタリーかと思いきや、江戸時代と当時の東京、そして、ドキュメンタリーと数分のフェイクドキュを混ぜ混ぜにした、なかなかシュールな短編やった。ボクらが今これを見ると、58年東京と江戸に加えて、さらに2018年現在の東京の有り様も対比して見てしまうので、幾重にも面白さがあると言える。冒頭、外人がギャラリーに飾ってある浮世絵を鑑賞してると、絵画の大名行列?が動き始め、額から当時の東京へと出て行ってしまう。それを見て目を丸める外人。で、そのあと忙しないTokyoの映像に載せてナレーションで読み上げられる驚きの事実……東京の人口密度の高さ、自殺者の多さ(しかも若者が占める割合の大きさ)、満員電車や渋滞のすごさ…これは今も全然変わってないよね笑 昔からずっとそうなんだな、東京は。けど現在との面白い違いもいろいろあって、特に、人々の顔が今とぜんぜん違う。みんなめちゃめちゃ顔むくんでる笑 なぜ? 食べるもんが違うから? メイクが違うから? ほんと不思議。美容クリームとかの宣伝に至っては、本物なのか作り物なのかよー分からんし、モデルのおばちゃんふつうに小太りやし、とても奇妙。浮世絵の人物画も対比的に何度も画面に登場するので、現代ー当時ー江戸時代とのコントラストが見えて興味深い。あと、喋り方ね。演技してる部分もあるから実際どうだったのか確かには分からんけど、現代よりイントネーションに大きな抑揚があるし、丁寧で魅力的な喋り方をしてると思った。後半のジャズのど自慢のラジオ放送はどう見ても映画のための撮影な感じしたけど、当時こういうのほんとにあったんかな。あったとしたら何て小洒落れてるんだ。みんなちゃんと英語で歌ってるし。その後のプチドラマは短時間やから内容がめちゃくちゃ誇張されてて笑ってしまった。のど自慢賞品と家のサイズね……すごい時代です。あと、クリスマスの夜に、キャバクラで女の子とイチャイチャするオッさん……いつの時代も変わらない悲哀やね。あと数十年後にはそういうのもだいぶ希少になってそうやけど。とかいろいろ考えてたら終わった。なかなか興味深い映画だった。
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