ベルサイユ製麺

ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYSのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

3.1
原作の大ファンです。
今作を観ながら、実写版を受け付けなかった理由を思い出してしまった。久保塚のキャラクターがチャラけ過ぎています。だから、何が起こっても自業自得に見えちゃう。確か松田翔太が原作が大好きって事で実現した企画だったと記憶してるのですけど、彼にはこんな風に見えていたのですかね…。
そもそも、すぎむらしんいちの描くオフビート&物騒っていう独特の空気感は、そのまま実写にコンバートするのが困難なのだとは思います。まして、基本的に追跡する側で緊迫感の薄い本エピソードに於いては、いっそコメディ感は封印してしまってもよかったかもしれませんね。

映画を見終わってから原作を読み返したところ、意外なくらい原作通りで驚きました。
良くなっていた点は、(原作では単なるtrashだった)イエローボーイズが血の通う人間として描かれていたところ。彼らのたわいないじゃれ合いを見ているうちに感情移入してしまい、何とか救われる道はないのか?と思ってしまった。(あと、オムスの緩んだ肉体w)
悪くなっていた点は、結末をゴッソリ削って、なんとなくのイメージショットで終わらせたところ。原作のほろ苦い後味が台無しです。金庫の前で長々と踊ってる位なら、ちゃんとしたエンディングを描いて欲しかったなぁ…。

市街ロケのシーンは、どれも良かったです。白昼の住宅街の銃撃シーンも、妙に生々しくて良かった。良かったところも有るには有るんですよね。

ディアスポリスの作品世界が連載当時より明らかにリアルでダークに響くようになってしまったこの時勢に、このまま終わらせてしまうのは余りに勿体ないとも思います。出来る事なら続編を観てみたいな。
その時は真利子監督とかで…。
久保塚は池内博之でどうかな?地味?