U子

ラスト・タンゴのU子のレビュー・感想・評価

ラスト・タンゴ(2015年製作の映画)
3.8
マリアとフアン、タンゴで50年ペアを組む二人の愛と憎しみの関係。

ふたりが恋に落ち、ペアを組み、
徐々に倦怠し、フアンは別の女性と
家庭を持ち子供をつくる。
ずっとあとになって、フアンに子供がいると知って絶望するマリア。
自分も子供が持てたはずなのに。
そこら辺ははっきりと語られないけれど、
マリアの絶望感や苦しみ怒りは
物凄く伝わってくる。

男女としては破綻しても、
タンゴでは誰にも辿り着けないところまで
のぼりつめたふたり。
マリアがフアンを憎しみながら、踊ってたと語ってた。それが自分を強くし、素晴らしいタンゴに反映されたと。

最後の方にペアを解消し、
また絶望したマリアが、
単独で舞台に立ち、拍手喝采を受けるシーンはジーンときた。
フアンが主で、自分はそれに従うものと
いう立場をずっと貫いてきたマリアが
自分はこんなにも価値があるんだと
気づいたから。
そう、マリア自体が本当に素晴らしい!

再現映像とダンスで語られるドキュメンタリーという形式も良いし、
再現映像にでたダンサーたちが
マリアと共に、ふたりの関係を考察するというのも面白い。

引退はしない、生きてることがタンゴだから、それはペアを解消しても
二人に共通する思いというのが
あつい。
面白かった。
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