回想シーンでご飯3杯いける

ジュリエッタの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ジュリエッタ(2016年製作の映画)
3.4
マドリードで独り暮らししている中年女性ジュリエッタが抱えていた秘密。彼女の娘は12年前に突然姿を消し、そのまま連絡も途絶えたまま。

そこから、ジュリエッタと亡くなった夫、その間に生まれた娘との記憶を追う回想シーンが始まる。僕のユーザーネームからも分かるとおり、現代視点で見た回想シーンが大好きなので、この構成だけで、ご飯3杯いける。若い頃のジュリエッタを描いたシーンは、計算上'80~'90年代辺りになる。当時の彼女はビビッドな色合いが好きだったようで、ファッションも派手で可愛い。

そこから家庭を持つようになって、年齢と共にファッションも変わっていく。本作で特に印象的だったのは部屋の壁の変化だ。壁の塗り替えに関するシーンが2回ほど挿入されるので、ここは恐らく計算された物なのだろう。スペイン映画らしいお洒落な演出だと思う。

同じ女性の半生を描いた作品でも、日本映画だと、男関係に人生を左右される描写が多いけど、この作品は完全に女性のパーソナリティのみを軸にしていて興味深かった。本作の中では、男はあくまで女性を影から支える目立たないサポーターといった趣き。こういう男のあり方も格好良い物だと思う。

男優以上にセクシャルな意味での男をアピールしていた"男の形をした焼き物"が、妙にエロかった。