夫を事故で亡くし一人娘のアンティアと暮らすジュリエッタ。ある日「瞑想に行く」と家を出たまま以後12年間娘が行方知れずとなる。とはいえアルモドバル監督なので単純なサスペンスやミステリーであるはずがなく、伏線の回収が醍醐味となる作品ではない。
さまざまな形の苦悩の交錯。最愛の娘への「愛情」のつもりが「依存」に近いものであるのに気付くくだりがジュリエッタと同じひとり親として響いた。
二人一役の女優陣、住居、小物すべてが洗練されており全シーンが美しすぎる。ほのかな希望を感じさせるラストの余韻が心地よい。