ごりぴー

ジュリエッタのごりぴーのネタバレレビュー・内容・結末

ジュリエッタ(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

いやそうはならんだろ、いやもうちょっと話し合おうよ!などと観ながらちょいちょい突っ込みたくなっちゃったけど、観終わった後はスッと腑に落ちた感じ。
他人の気持ちを考えましょうとは簡単に言うけれど、あれだよね、自分がその立場に置かれないとどうしても理解できないことってあるよね。ジュリエッタは母親のことで父親を恨み、自分が母親になってからは夫のことで娘から恨まれた。アンティアは母親を捨てたけれど、後に息子を亡くしたことで子を失った親の気持ちを理解できた…。本当の意味で理解し合えたからこそ、母娘は和解への道を見出だした。そういう希望の持てるラスト。アンティアとショアンの手紙の書き方が似てるのが素敵(明確に「来い」とは言わないけど住所はしっかり書いて、暗に「会いたいよー」っていうのを匂わせる感じ。なんかかわいい)。やっぱ父娘ね。

何か悪いことが起きると誰かのせいにしたくなっちゃう気持ち、誰でも一度は感じたことあると思う。誰のせいでもないのよって言葉が真理なんだけど、幼くして初めての大悲劇にぶち当たったアンティアとしてはどうしても受け入れられない。結果彼女は父の死を止められなかった母と、何も知らずに楽しんでいた自分を恨む。彼女が過去を捨てて逃げた理由には、母親を憎んでしまっている自分への嫌悪もあったのかな。
最初に書いた通り、もっと母娘で話し合ってれば、アンティアがちゃんと自分の気持ちを吐き出してたら…とも思うんだけど、それもまだ幼かったアンティアが鬱病の母を支えなければならなかった=本当の意味での子どもではいられなかったわけだから無理だったんだよね。「大人に見える」娘に甘えて彼女の心の闇から目を逸らしたという点ではジュリエッタにも非があるのかも。
誰にも相談できないままちょっとずつ病んでいく心に思春期特有の不安定さが燃料になって益々壊れていき、そこへ丁度いいタイミングであなたも信仰を見つけて救われましょうとか言ってるちょっと怪しげな団体と出会ってしまい、結果全てを捨てて出奔という色々とすっ飛ばした選択をしてしまったと…。 こう解釈すると永遠の16歳である私としてはなんとなく共感できる。そう、これって10代の子が見るか、子育て末期のお母様方が見るかで視点が変わってくるかも。あとこの「昔からのモヤモヤ+思春期+怪しい団体=失踪」て流れは『アメリカン・バーニング』って映画でも見たなーと閃いた。(あっちは父娘だから余計に拗れてた)
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