カツマ

アナイアレイション -全滅領域-のカツマのレビュー・感想・評価

3.5
『エクスマキナ』でついに監督デビューを果たしたアレックス・ガーランドの2作目がNetflix限定配信開始!今作でも近未来的SFの世界観と、人間の深層心理へと切り込むストーリーテリングが合体。SFサバイバルかと思いきや、最後の15分で鮮やかにひっくり返されるあたり、一筋縄ではいかない。鑑賞後にラストカットの意味を模索すると、そのモヤモヤとしたものの正体に気付けるはず。これは未知との遭遇?それとも心理サスペンス?いや、終盤はホラーだった。切り口によって違う傷口が顔を出す、鑑賞者の創造力も試される作品だ。

大学で教鞭を取る生物学者のレナは、軍の任務で1年間戻らない夫を待ち続ける日々。だが、そんな彼女の前に夫が唐突に帰ってくる。明らかに様子のおかしい夫は血を吐き突然の発作で倒れ、そのまま救急車で運ばれる。しかし、その途中二人は軍隊によって研究施設へと連行され、レナはそこで夫の本当の任務を知ることになる。
その任務とは『シマー』という虹色のオーロラの壁に囲まれたエリアの調査だった。眠り続ける夫の姿。レナにはこの『シマー』へと向かう理由があった。女性のみで編成された学者チームと共に、レナは『シマー』の中へと足を踏み入れる。

謎は多い。解明されずに鑑賞者に丸投げの解答も散らばっている。だが、過去と現代を行き来する記憶の果てに、レナがシマーへと入らなくてはならない理由が導き出される。夫は何故帰ってくることができたのか?劇中で何度となく繰り返される細胞分裂の役割とは?
ナタリーポートマンを主演に向かえ、夫役にオスカーアイザックをキャスティングするなどかなり豪華な布陣だ。そんな中、実はかなりのちょい役でエクスマキナにも出演していたソノヤミズノを探してみてほしい。
虹色の壁、交錯する水面。透き通っているものの透明度を、更に引き上げる映像世界にも魅せられる作品でした。
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