ガンビー教授

アナイアレイション -全滅領域-のガンビー教授のレビュー・感想・評価

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エイリアン、遊星からの物体X、2001年宇宙の旅、ストーカー(タルコフスキー)……僕も死ぬほど愛してやまないような作品群からの如実な影響を伺わせるアレックス・ガーランドの本作『アナイアレイション』を、なぜ僕がエイリアンとか遊星からの物体Xとか2001年宇宙の旅とかストーカーほどに愛せないのか自分でも不思議に思うくらいなのだけど。

たぶんこの人はやはり軸足が「SF」に置かれていて、SFの作り手としては本当に優秀な人なのだと思う。この映画もまさしく第一に「SF」として読み解くべきものだと思った。しかし蓮實重彦が言うように、「SF映画というものは存在しない」。監督の本質の部分にある「知的さ」はここではほとんど非映画的であることの代名詞として機能してしまう。これはたとえばSFの視点から見ていかにスピルバーグが筋悪であろうと、明らかにその作品は「映画的」であることの裏返しのようなものかもしれない。

ノーランの作風を「知的」と呼ぶときはちょっと皮肉めいたニュアンスが漂ったとしても、アレックス・ガーランドはためらわず知的と呼べる。なんだけど、だからこそなぁ。これはもはや、映画を何だと捉えているか、という観客の問題だと思う。複雑なテーマを映像表現に昇華して伝達するうえで、監督は100%に近い仕事をしている。それに俗悪な見世物ホラーの要素もあって、そのあたりも本当に本当に素晴らしいのだけど……
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