Inagaquilala

アナイアレイション -全滅領域-のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

4.1
「エクス・マキナ」の監督であるアレックス・ガーランドが監督と脚本をつとめた作品。前作の「エクス・マキナ」で発揮されたこの監督独特の美意識は、この作品でも生かされており、不思議な空気感が流れるSF作品となっている。当初は、パラマウント映画配給の作品として製作されたらしいのだか、テスト試写で製作側と考え方の違いが生じ、世界での配給権をNetflixが手に入れたという曰くつきの作品(但し、アメリカと中国はパラマウントがそのまま配給)。

前作「エクス・マキナ」は自分としては、年間ベスト10にも入れた作品なので、この新作には大いに期待していた。それだけに、Netflix配信で観られるなんて、かなり得した感じだ。海に面した半島が、シマーと呼ばれる謎のエリアで覆われ、そのなかでは生物が異常な発達を遂げていたり、探索に行った人間が未帰還となったり、不可解な現象が起こっていた。物語はその調査に出かけるチームの話だが、なぜかメンバーは女性ばかり、このあたり「エクス・マキナ」と同じアトモスフィアを感じる。

シマーのなかで次々と起こる異常現象がなかなか興味深い。基本的にはその謎に挑む探索の物語なのだが、そこに主人公(なんとナタリー・ポートマン)をめぐる人間関係も投影され、謎がまた謎を呼ぶ展開ともなっている。結末もそれほどすっきりするものではないが(ここらあたりがパラマウントと揉めた原因か)、むしろそのほうがこの作品にはふさわしい。「アナイアレイション」とは「全滅」という意味らしいが、タイトルと考え合わせると、最後もなかなか意味深に取れる。期待を裏切らぬ作品。
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