抹茶マラカス

アナイアレイション -全滅領域-の抹茶マラカスのレビュー・感想・評価

4.1
これは要解説案件の骨太SF。
 まずは何においても美術が素晴らしい。放射能への言及もあったが、廃墟・荒廃した建物と対を為すかのような青々とした自然。とかく無茶苦茶にしたくなる中で、突如日常が奪われて、そこから常に変異する未知、という対象の表現としてとても良かった。
 前半を引っ張るのは何が起きているのかわからない未知のゾーンへと調査隊が進みながら襲われたり不穏な様子を確認していく王道のサスペンス。襲ってくるものが徐々に現実離れしていき、かつての隊員の声で鳴く獣のアイデアには恐怖すら覚える。
 目的地、というか原因の灯台に到着してからは、宗教とSFと色んなものが入り乱れる考察されるべき世界。すべての遺伝子までを反射するシマーで常に物質が変異する世界で最後に出会うのはドッペルゲンガーというのか、自分自身というべきなのか。
 その結果翻される序盤の謎。彼は何故姿を消し、突如現れ、そして倒れたのか。いやー面白かった。