たけちゃん

アナイアレイション -全滅領域-のたけちゃんのレビュー・感想・評価

4.1
私には帰る理由があったから……


アレックス・ガーランド監督 2017年製作
主演ナタリー・ポートマン


みなさんって、映画は1回観たらおしまいですか?
僕は映画を何回も観る人なんです。
なので、気に入った映画はBDを買います。
観たい時にいつでも観たいからです。
でも、そんな僕の環境も変わっていくのかも……

年末から時間がある時お世話になっていたNetflix。
何か観たいなぁ……って時にリストをざ~っと見て、観る。
あるいは"マイ・リスト"に記録しておく。
こちらも観たい時にいつでも観られます。
しかも、新しい作品がどんどんおすすめされてくる。
とても全部は観きれません。
それでもけっこう観ましたが、スコア3.5~3.9という平均的な作品が多くて、すご~く良かったという作品は少ない。なので、ちょっと暇な時、何か観たいなぁ……にはピッタリ( ˘ ˘ )ウンウン


そんな中で、これは面白かったなぁ。
「アナイアレイション -全滅領域-」
ナタリー・ポートマン主演作です。
ジャンルは僕の好きなSF作品です。
ただ、宇宙に行くのではありません。
謎解き要素もあり、ミステリーチックでもある。
「遊星からの物体X」にちょっと似てたもんで、レビュー上げました!


今作は元々、劇場公開予定で作られていたんですね。製作者がパラマウントと配給の関係で揉めて、アメリカなど一部地域を除きNetflixが買い取ったんだとか。なので、僕らはネトフリでしか観られません(‐ω‐;)
なるほど、だからこんなにクオリティ高いのか。
ただ、難解な要素もあるんですよ。
遺伝子を扱った内容とか、動機とか。
それが理由で、公開が見送られた……。
確かに誰もがスッキリ分かる話でもない。
あれこれ考えたくなる映画なんだよねぇ。
僕が気に入った理由でもあるんだけど( ¯−¯ )フッ



3年前、ある地域が光の壁で包まれた。
それをシマー(光)と呼びます。
シマーの中は電波も通じず、中に入った者で戻ってきた者もいない。

そんな時、1年を経て夫が帰ってくる。
実はシマーからの初めての帰還者。
しかし、彼は以前の彼とは違っていた。
何が起こったのか……



主演はナタリー・ポートマン
元軍人の生物学者レナ役。
1人だけ銃の構えが違う!
カッコイイんだよね。
セクシーさは足りないけどね( ¯−¯ )フッ

夫のケインはオスカー・アイザック
こちらはセリフも少なく、カッコイイシーンはありません。
その理由は観るとわかります( ˘ ˘ )ウンウン

でも、こんなところでアミダラ姫とポー・ダメロンが共演とは!しかも夫婦役\(^o^)/コレハ、モエル


ヴェントレス教授役はジェニファー・ジェイソン・リー。久しぶりに観ましたが、お年を召されましたね。
僕の中では「ルームメイト」や「バックドラフト」の頃のイメージが強くて。意外と好きだったんです( ¯−¯ )フッ


物理学者ジョシー・ラデック役はテッサ・トンプソン。
今回は地味な役でしたね~( ᵕ_ᵕ̩̩ )
「クリード」や「マイティ・ソー」のヴァルキリーのイメージはありませんよ。
でも、重要な存在。


アニャ・ソレンセン役のジーナ・ロドリゲスは最初にレナに声をかけてくれた人。
救急隊員でレズビアン……なるほど、声をかけた理由が分かりました(笑)
ちょっとミシェル・ロドリゲス風の方でしたね(^-^)ナマエモニテル


キャス・シェパードは地形学者。
役者さんのツヴァ・ノヴォトニーは知らない方です(⁎-௰-⁎))"ゴメンチョ、ペコンチョ
彼女はレナと仲良くなりましたね。
でも、そういう人って……(>_<)



さて、今回もプチ音ネタ💩ウンチクンです(^-^)

レナが夫ケインと過ごした過去のシーンで流れているのが、クロスビー、スティルス、&ナッシュの「Helplessly Hoping」です。
クロスビー、スティルス、&ナッシュって、メンバーそれぞれが有名なんです。
バーズ出身のデヴィッド・クロスビー。
バッファロー・スプリングフィールド出身のスティーブン・スティルス。
そして、ホリーズのグラハム・ナッシュ。
その3人が集まって結成したビッググループなんです。このあと、やはりバッファロー・スプリングフィールド出身のニール・ヤングが参加して、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(通称、CSN&Y)となりました。

この「Helplessly Hoping」は「どうにもならない望み」という邦題がつく1969年のナンバーです。スティーブン・スティルスが別れた彼女のことを歌った曲です。レナとケインの夫婦関係を暗示していますよね。
この曲にはニール・ヤングが加わったバージョンもあるんですよ。これも良い!ニール・ヤングのヘナヘナ声が好きなんです(笑)
4人揃って作った1970年の「Deja Vu」がとても良いので、おすすめですよ。






さて、最後にネタバレして、作品を考察したいと思います。ので、未見の方は以下は読まない方がいいですよ。読んだ方が意味が分かるとも思うけど……( ˘ ˘ )ウンウン





この映画もエイリアンの侵略物でした。
ただ、このエイリアン、実態がない。
シマーって、エリアXとも呼ばれていましたが、この空間の中でしか生きられない生物のようなものなんですよね。そして、エリア内の生き物のDNAを取り込みコピーし、活動を模倣し、自ら産み変わっていく。だから、動物も植物も属を超えて存在する。地球上で進化した生物ではありえないDNA構造を持つんです。
この発想が面白かったですよね。
僕は塩の構造を取り込んだ海岸線の樹木のクリスタルな姿が美しいなぁと思いました( ˘ ˘ )ウンウン


シマーに潜入したレナたち、数日間、記憶が無くなっていましたよね。おそらく、その時に、既にDNAが書き換えられていたと思います。
その方法は示されなかったので、想像しか出来ませんが、シマーという環境に入った途端、あるいは、その中の生物に触れた途端、変化が促されるのでしょうか。

「アナイアレイション」って、核兵器などによる「全滅」の意味で用いられますが、素粒子論では素粒子と反粒子が合体して消滅し、光子または新たな素粒子に転化することを意味するんだそうです。
なるほど、それなら、シマーの中で別な種に転化したとも考えられますね。


さて、この変化した生物は、シマー内の環境でしか生きられないので、外に出ると細胞崩壊を起こしていましたよね。これが戻ってきたケインの姿です。
また、シマーの崩壊で、全てが滅んだように見えました。
しかし、シマーが喪失したことで、ケインが正常になりました。あれって自立したということですよね。シマー無しで生きられるように進化した、あるいは、環境に適応したとも言える。
そうすると、これで終わりとは思えない。
ケインとレナは、新たなアダムとイブとなった。
これは続編あるよねぇ(笑)



ということで、この映画も同化の作品でした。
奇しくも「遊星からの物体X」同様です。
なんか、自分のタイミングにビックリ!
まぁ、タッチは全く異なりますけどね( ¯−¯ )フッ
だから、レビューしようとも思ったのですが( ˘ ˘ )ウンウン

異なるのは、「遊星からの物体X」は、明らかに攻撃的で侵略を感じさせるのに対し、「アナイアレイション」は、動機のない、ただの環境変化であることです。

しかし、考えてみると、人類が生まれて以降の年月、特に、この100年ほどの間に、地球環境って、激変していますよね。「地球温暖化」の問題とかオゾンホールによる紫外線の増加とか。
まさに僕らのやっていることは、知らずに環境を破壊、変化させているという意味で、シマーと同じです。適応出来ない、あるいは、人類に捕食された種は滅んでいるんですから。
であるなら、排除されるべきは人類の方かも。
そんなことを考えさせられます( ¯−¯ )フッ



ねっ、SFとして非常に面白いでしょ?
確かに劇場で観たかったという思いもある。
それでも、自宅でもかなり入り込めました。
実は、年末にテレビを新調したんで、かなり良い環境になったことも大きいけど……ヤスイケド、オオガタwww
これはますますネトフリに移行するよね。
SF好きのみなさん、おすすめです( •̀ω•́ )و✧