KnightsofOdessa

アダムズ・アップルのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

アダムズ・アップル(2005年製作の映画)
4.0
[デンマークの『幸福なラザロ』は"幸福なヨブ"なのか] 80点

今年の秋に突然日本公開する話を聞いたときには、正直意味が理解できなかったし、よくよく考えてみてもよく分かっていない。しかも直訳すれば喉仏である英題/邦題であるが、喉仏は本編を通して一切関係ない。そんなへんちくりんな映画だが、題名やら公開時期やらを考える以前にもっとぶっ飛んだ内容だった。

ネオナチ中年オヤジが更生施設として田舎の教会に送られると、そこの神父はなんでも"悪魔のせいだ"と責任転嫁するヤバメなガチ宗教者だった、という展開だけ聞けば"あぁまたキリスト教礼賛系か"と思うかもしれない。しかし、先に入っていた酒飲み元レイプ犯が薬と称してガンガン酒を飲みまくるのにも、元銀行強盗がバカスカ銃を乱射するのにも優しく対応するどころか手助けしているあたりから風向きが変わり始める。そして、その理由をあっさりと明かして後半の怒涛の展開に持ち込む話運びの上手さが光った。

展開というか基軸となるストーリーは完全に『幸福なラザロ』だったが、同作が過激な対比に落ち着いたのに対して、本作品ではブラックジョークすれすれに展開しながら"信仰"とは何かを語りかける不思議な作品だった。
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