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SING/シングのnanaのレビュー・感想・評価

SING/シング(2016年製作の映画)
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近々続編が公開されるということで、吹替版を配信で観ました。
イルミネーション・エンターテインメントの作品は今まであまり縁がなかったのですが、この作品は楽しめました。
想像していた以上に良かったです。

これを言えば元も子もないし、すべてのミュージカルがそうなのですが、歌の力というものは大きいです。
今作では様々な動物キャラクターが既存の曲を歌い上げるので、「あ、この曲知ってる!」「ここでこのキャラがこの曲を歌うか!」といった喜び・楽しみがある作品です。
吹替版はほとんどの曲が日本語に訳されていて、「歌詞とそれを歌っている人の心情が一致している」というミュージカルの醍醐味がスッと入ってくる効果もあります。

主人公コアラのウッチャン、内気なゾウのMISIA、心優しいゴリラのスキマ大橋卓弥、パンクを愛するヤマアラシの長澤まさみなどなど、どれもぴったりです。
こういうのを見ると、一概に「本業じゃないタレント吹替はNG」とも言えないです。
もちろん、本業の山寺宏一、坂本真綾、宮野真守などなどはさすがとしか言いようがありません。
山ちゃん演じるねずみのマイクは、はっきり言って超嫌な奴なのですが、歌の実力はとんでもないし、何よりも音楽を愛しているという気持ち、歌を愛している人のことをしっかりと見つめる姿勢というものが何気なく描かれていたのも良かったです。

ねずみのマイクもさることながら、そもそも主人公のバスターがどうしようもない奴です。
キャラクターを好きになれるかどうかで、今作の好みも分かれそうではあります。
この物語は、嫌な奴、どうしようもない奴が改心するとか、善き人になって成長する、というわけでもないところも魅力なのかなと思いました。
倫理的にはダメダメな人が、ほんの少しの勇気で一歩を踏み出すところ、憐れな姿でも努力をするところに惹かれます。

オリジナル版も、主人公を演じるのがマシュー・マコノヒーだったり、様々な人が演じているようなので、観て比較してみたくなりました。
後にエルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』で主演をつとめることになるタロン・エガートンが今作でゴリラのジョニーを演じているのは、不思議な縁を感じます。

「またこの動物たちに会いたい!」と思わせてくれる作品だったので、続編も楽しみにしています。
次はあのキャラが何を歌うのか…なんて予想するのも楽しそう。
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