いずみたつや

SING/シングのいずみたつやのレビュー・感想・評価

SING/シング(2016年製作の映画)
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"歌う"という同じ行為でも、それぞれ全く違う壁を乗り越えていく、群像劇のお手本のような無駄のない脚本に感激しました!

また、一筋縄ではいかないキャラ、バスター・ムーンとマイクの面倒くさい愛おしさも堪りません。

ムーンの夢を追う狂気は凄まじく、時には嫌な奴にさえ見えますが、だからこそドン底に落ちる場面の惨めさが痛いほど伝わってきます。

ドン底に落ちても尚、どんな泥仕事でもやってやろうと捨て身の根性を示す場面は、めちゃくちゃ笑いながらもジーンとくるものがあります。

嫌味なマイクも、実は誰よりも人を"感動させること"、"楽しませること"に対してストイックです。

クライマックスの舞台袖で見せる表情も、"センス"には敬意を払っていることが滲み出たもので、物凄く感動的でした。

似たようなテーマの『ラ・ラ・ランド』は、主人公に狂気(夢を追う熱量)が感じられなかったことが不満だったので、あの名曲"Audition"を聴くと、エマ・ストーンよりも先にSINGのメンバーの顔が浮かんできます。


"夢見る者に乾杯を
狂人たちに乾杯を"