せーじ

SING/シングのせーじのレビュー・感想・評価

SING/シング(2016年製作の映画)
4.3
遅ればせながら劇場で吹替版を鑑賞。
イルミネーションの作品を観るのは
今回が初めて。

個人的にはかなり好きだし面白いけれど、ちょっとだけ惜しいなと思う箇所があった作品だった。

本作は、歌の力、音楽の力、創作の力をどこまで信じきれるのかというのが、キモなのだと思う。コアラのバスタームーンなんかその最たる存在で、あんな無茶なやりかたで強引にコンテストを開こうとしたのは、金儲けなどという単純な欲求などではなく、まさに…ということなのだろう。
そうこれは、歌い手達の物語というだけではなく、歌を届ける(もっといえば世にある素晴らしい創作物を届ける)人たちの物語、と読み取ることもできる作品なのでは…と自分は考える。
それだけに、バスタームーンがその手段を完膚なきまでに奪われた時に、どうやってまた歩き始めるのか、が少し弱かったのがとても残念だった。
劇中の展開とは逆にして、バスタームーンが凹んでいる時にゾウのミーナが歌っているのを聞いて気持ちを取り戻し、身体を張って…という流れだったら完璧だったのに。

とはいえ登場キャラの群像劇は、全体的にはスピーディだがテンポよく進み、上手いこと転がしているし、ギャグもキレッキレでゲラゲラ笑ってしまう。そして何より、クライマックスの展開が素晴らしい。
個人的に一番ツボだったのが、クソ野郎だったネズミのマイクが、いちばん邪険にしていたミーナの歌声を聞いて目の色を変えるシーン。歌の力を如実に感じさせる、すごく胸がすくシーンだった気がする。

また、吹き替えも非常にクオリティが高い。個人的にはミーナを演じたMISIAさんはもちろん、ブタのロジータを演じた坂本真綾さんやヤマアラシのアッシュを演じた長澤まさみさんが好きだった。他の声優陣も、端役も含めて好演されていたと思う。
本来であるならば、字幕版を観るべきなのだろうが、吹替版もおすすめできる作品である、と断言したい。