こたつむり

SING/シングのこたつむりのレビュー・感想・評価

SING/シング(2016年製作の映画)
3.8
親子そろって“アタマを空っぽ”にして楽しめる作品。

こういう映画は貴重ですね。
男女問わず子供と一緒に大人が楽しめますし、『ペット』と同じようにキャラクタの性格に動物の特性を結び付けているから、話を共有し易いですしね。

また、既成の楽曲を使っているのも。
ファミリー映画としては手堅い選択。
たとえ、楽曲自体は知らなくても、似たような曲を聴いたことは…あるはずですからね。聴き馴染みがあれば受け入れやすくなりますよね。

そして、物語としても。
何度転んでも挫けずに立ち上がる…という前向きなメッセージが、分かりやすく伝わってくるのも良いのです。日々の生活にすり減っていると引っ掛かる部分があるものの…その辺りはググッと飲み込むのが、やはり大人。

ただ『ペット』のときも書きましたが。
オモチャが意思を持つ映画や、夏に憧れる雪だるまが出てくる映画…などと比べるのは止めた方が良いです。というか“あちら”は、むしろ大人向け…と思うくらいにテーマが重かったりしますからね。大人目線だと本作が物足りなく感じるのも仕方がないのです。

…なんて冷めた視線で書いていますが。
涙腺をバンバンと刺激してくる部分もありますよ。まあ、子供の手前上、グググッと堪えますけどね。ちなみに鑑賞後に本作のことを調べていたら、『リトル・ランボーズ』のガース・ジェニングス監督が手掛けていたことを知りました。なるほど。感動させる演出はお手の物なのですな。

まあ、そんなわけで。
外に出掛けるのが億劫なときに、子供と一緒に鑑賞するのが丁度良い作品。上映時間が108分と、家族映画にしては長めなのが玉に瑕ですけどね(やはり100分以下がちょうど良いなあ)。

以下は余談というか蛇足。

主人公である《バスター》の立ち位置が微妙でした。オーディションで才能を見出したこと以外に、プロデューサーが彼である理由が見当たらないのです。出演者たちが彼の魅力に惹かれている描写もありませんでしたし…。

また、物語が展開していく部分において。
《バスター》が努力せずに結果が出てしまっているのも“ご都合主義”だと感じました。まあ、子供向けの映画なのだから、見逃す部分だとは思いますが…。

…なんて本当に蛇足でした。
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