このレビューはネタバレを含みます
とにかく、名作を見た、という余韻をひたすら長く感じていた。これは映画館で見るべき作品だったと強く思うし、たまたま見ることができて本当に幸運だった。
最初は画面の美しさに圧倒され、(それは最後まで続いてはいたが)内容の出来も本当に良かったため話もしっかり入ってきた。
まるでADVのゲームをしているような気分になり、これはゴッホの死の結末を解き明かすものなのか?と思えば、彼を取り巻く様々な人々の言葉や感情を辿っていくものだった。
彼の死の理由は最後まで私達生きている人間の受け取り方に委ねられている。
絵がどうしてあんなにも眩しく、美しく、風や温度を感じさせるのだろうか。いや、絵だからこそなのかもしれない。
どこを切り取ってもまさに「絵になる」し、私にはひとときの瞬きも許されない気がしていたのだ。
ゴッホが、光に向かって歩いていく姿が焼き付いて離れない。彼は星に向かっていったのだと理解した。彼のあらゆる命への向き合い方は、苛烈で、優しくて、きっとあの絵のように世界が見えていたのだろうと思うとそれが眩しくて仕方がなかった。
何度でも見たい。けれど何度も見たくはない。初めて見た時のこの衝撃を、きっと超えられはしないだろう。