あゆみ

ゴッホ~最期の手紙~のあゆみのレビュー・感想・評価

ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)
4.6
125人の画家が描いた油絵のアニメーション。自分もその世界に生きているかのように魅せられ、物語に没頭できる夢のような時間だった。

ゴッホというと、弟テオを支えに数多くの作品を描きあげながら、生前には全く評価されず、精神を病み、自分の耳を切り落として贈ったという逸話など、苦悩の中に自殺した薄幸な画家、というイメージしかなかった。
にもかかわらず、大胆な色使いで、叩き塗ったような力強い作品を見ると、どんな気持ちで描いていたのだろうと複雑な思いもしていた。

その思いにひとつの答えをくれたのが本作だ。今まで「歴史上の偉大な画家」という記号でしかなかったゴッホを、初めて、もがきながらも表現し続けた生身の人間として捉えることができたような気がする。
不幸にも職を追われ続け、「学位もなく、職もなく、つまり最低の人間」だと自分を語る人物だったからこそ、目線を低くして、なんでもない市井の人々の姿を温かく描けたんだろうなと。
次にゴッホの絵を目にする日が待ち遠しい。
あゆみ

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