神戸典

ゴッホ~最期の手紙~の神戸典のレビュー・感想・評価

ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)
3.8
まずこの作品は描き方から異彩を放っている。これまで見たことがない作品になっている。
映像はゴッホが実際に書いた絵が生きているように描かれている。
ペイント風の映像にしてそれを動かすことで本物よりもリアルな表情、陰影や心の色を表情に出す効果が絶大に感じられた。

ストーリーはゴッホの友人の息子が父親からゴッホが弟のテオに向けて書いた未着の手紙を届ける旅をするというもの。
その中で仕事をしていない青年にっとってこの旅が大きな成長をもたらすと同時に、ゴッホというさまざまな人間像を人伝いに聞き、本当の彼を知るという話。

この作品を見終わって、
ゴッホという人間がどこまでも優しく、周りの人の幸せを祈り、自己犠牲の精神を持った穏やかな人であったのではないかと感じた。
生まれてすぐ命を落とした同じ名前の兄がいたことで望まれているのは自分ではなく兄ではないかという思いが生み出した闇、孤独、その中でも一つ一つ見てきたことや出逢った人を絵にすることで彼の心の中の優しさや光といったものを描いている。

125名もの画家にゴッホの絵画を描かせそれをつなぐことで出来上がった作品。
それはもうゴッホの命が吹き込まれ絵が生きているようにしか見ることができない。
さらに回想シーンではモノクロでリアルな絵を描いていることが非常に良かった。
ロトスコープを使用することでリアルを追求している。
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