くろねこヤマ子

ノー・ホーム・ムーヴィーのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

ノー・ホーム・ムーヴィー(2015年製作の映画)
3.8
この映画は
実母を映し続ける。
アケルマンの遺作。

食事の風景、
Skypeでのやりとり、
うたた寝。
時にアケルマン本人も
映る家族の映像。

会話の中から親密量を察する。
状況を想像する。
撮影者と被写体の人間精神関係が
十分に表象されないことを
確認した上で、
観客がそれぞれの解釈を
導きださなければならない
託された作品。

そこから。

撮影者自身の肉親に密着して、
肉親の日常を撮した映画の事を
ホームムービーと呼ぶのだとしたら、
「No Home Movie」
というタイトルに
ざらつきを感じたし、

はじまりの、ゴウゴウと吹きすさぶ
砂っぽい風音にもそれを感じた。

この乾いた感じは何だろう。

頭の中で咀嚼しながら、
この映画を
もう少し楽しもうと思います。


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