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野獣死すべしのmingoのレビュー・感想・評価

野獣死すべし(1969年製作の映画)
4.1
冒頭北野武にぜひ観てもらいたい。
オープニングクレジット出るまでが模範的解答であり傑作確定。
大寺字幕あやしいからちゃんとした字幕で観たい。て知り合いのおっさんに言ったら苦笑いされた、破壊→発見だし、誤字脱字みつけるために校閲されてないのも問題だろって仕事柄思った、

トークメモ
野獣死すべし。日本未公開作。発見を破壊と字幕ミス。
ベティとか刑事ラバルダンもだけどこの頃は傑作揃いテンション高し。アンスティチュでは字幕なしで流してた。権利くれとユニフランス経由で紹介してくれた夜中でフランス語でバーって話されて熱意伝えて今回の特集の運びになった。

子供の頃からシネフィル、リベットゴダールトリュフォーと仲良しになっていった。カイエデュシネマに寄稿。アニエスグードと22歳の頃結婚。金持ちばあさんの遺産を全て投じて美しきセルジュといとこ同士でデビュー。ヌーベルバーグの生みの親。多作な監督。ヒッチコックと同じサスペンスを愛していた。69年冷遇されていた63年にオフェリアが失敗したため。プロデューサーに言われたまた64-67くらいまで娯楽映画を撮り続けた。堕落したなと評価が低い時期に充実な作品を撮った。マルクス主義的左翼的なイデオロギーをもった映画が良い映画な時代。それでシャブロルはブルジョアの堕落映画とみなされていた。

ヒロインの名前はエレーヌ。69不貞の女 本作 70肉屋 71破局 72一寸先は闇 この5本はエレーヌサイクルと呼ぶ笑
ステファーヌオードランと再婚同士で結婚。ミューズとしてエレーヌに投影。同じ人物で物語を変えて展開していた。ポールとシャルル。罪の意識、階級、人間のアイデンティティが特徴。ちなみに本作は原作あり。38ニコラスブレイクの野獣死すべし。47年まで古本屋をやっててそのとき読んで感銘を受けた。ダニエル・デイ=ルイスのお父さんセシルデイルイスの変名。クロードルルーシュの作品をみてカロリーヌセリヌを選んだ。ジャンヤンヌは脇役時代長い。ゴダールのウィークエンドで主役デビュー。肉屋ではジャンヤンヌのためにシャブロルが脚本を書いた。フィリップノワレを本当はオファーを出していた。ボート乗れないから断られた。最初の刑事は屋敷に訪れてドニミクザルニはちらっとシャブロル作品にでてくる。ヒッチコックのカメオ出演的な演出か。ポール殺しの刑事はなんとモーリスピアラ。まじか。日本ではやってないて言ってるけどこの前ゴーモン特集でやってたやろ。ジャンヤンヌとピアラが「一緒にふけるわけじゃない」で一緒に作った。ブラームスの4つの原色の歌は新約聖書からとられている。シューマンの奥さんのクララシューマンに捧げた歌曲であった。書き上げた直後に亡くなった。アバンタイトルまでの始まりが特に素晴らしい。13.4カット。黒い車が右から左、少年と左から右、いつか衝突するに違いないと予期させるのが見事。海の背景音が響いてブラームスの曲が対照的。右から左は横書きの文章として不調和不自然。あれは死、異質さを感じさせる選択を指摘する人が多い。そっけない衝突が圧倒的衝撃な暴力性。即物的あっさり描くべきだとシャブロル先生は言う。フリックラングやサミュエルフラーはそうしてた。バッタリ倒れる動かない=死。エレーヌの視点から少年、そして黙れと言う犯人は誰なのかと鑑賞者を惹き付ける。この映画のポイントは復讐劇、父親の視点に寄り添って感情で我々を巻き込んでいく。つまりエモーショナルと構成的な要素システマチックな2つが見事なバランスで展開されていく。ギリシャ悲劇的。円環構造。因果応報。ラングの復習はおれに任せろビッグヒートと同じ構造。崖の上とボート二回のチャンスで躊躇。彼の心がだんだん読めなくなってくる。フィリップとエレーヌを利己的に利用。ただ復讐の男の息子フィリップとだんだん疑似家族のようになっていく。実は亡くなった息子と復讐者の息子に兄弟を利用。あたかも轢き殺されたミシェルが蘇ったような演出。
ズームの多用。不貞の女の最後のズーム。ズームインとズームアウトが常にペアで使われる特徴。エンディングはラングのムーンフリートのオマージュ。スタイル的な特徴は復讐の物語の成就は描かれていない!ポール死んだ場面が描かれていない。ポールを殺したのが誰かが焦点となってくる。演出の細部を見るとポールを殺したのがシャルル。ボートの上で見抜かれるのに余裕があるおまえはもう死んだも同然だ。ヨットに乗る前にもう毒を盛っている。屋敷から追い出されたのに食欲があるぞと鶏肉を食べているのは復讐を遂げたと。死を隠喩しつつ生を見せる。刑事がフィリップにこっちをみろて言ってるのにシャルルの方を見てる自己犠牲の目。解釈の多様性を考えてしまうことがシャブロルの意図。
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