Inagaquilala

ジオストームのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

ジオストーム(2017年製作の映画)
3.6
作品を紹介するキャッチで、「ディザスターの幕の内弁当」というものがあったが、まさに局地的寒気あり、地面を焦がす熱波あり、岩石のような雹あり、街を呑み込む大津波ありと、天変地異の場面はバリエーションを変えて登場する。とはいえ、作品自体は、その異常気象の原因である、近未来の、地球の気候をコントロールする宇宙ステーションをどう制御するかのドラマが中心だ。

予告映像では、それらのディザスターのシーンがクローズアップされているが、本編はそのようなパニックムービーではなく、どちらかというと、日本の「シン・ゴジラ」に近い、危機管理対策の模様を描いた作品。これに兄弟の絆や、アメリカ合衆国の政権内部の暗闘などが絡み、ちょっとしたサスペンスミステリーにもなっている。

ディザスターシーンが案外に少ないので、そのダイナミックな映像を期待して観ると、ちょっと肩透かしを食うかもしれない。時代設定は2019年から2022年の地球となっているのだが、2019年といえば、もう来年。地球は温暖化の影響で、未曾有の異常気象に襲われ、それをコントロールするため世界は協力して、国際宇宙ステーションを中心に、気候をコントロールの人工衛星網を築き上げる。と、あまり現実的設定ではないのだが、3年後の2022年にその衛星が暴走を始めて、世界各地が天変地異に襲われる。

その原因を突き詰めていくと、意外な舞台裏が見えてくるという物語の流れなのだが、そのあたりをどう評価するかで、作品の見方も変わってくるとは思う。アフガニスタン、香港、東京、ムンバイ、ドバイ、リオデジャネイロと世界各地で起こるディザスターのシーンはなかなか興味深いものはあるが、予告編の領域を出るものではないので、心して劇場へ足を運ぶこと。
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