シネマスナイパーF

ザ・コンサルタントのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

ザ・コンサルタント(2016年製作の映画)
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それまでの事実が何重にも反転するどんでん返しではない分マシではあるけど、後ろにいくにつれて強引で急なネタばらしが頻出するのには正直面食らった
じゃあ話に難ありかと言われると悪く言いたくはないなと
正直めちゃくちゃ面白いし超好きな映画です


まずこれだけは誰もが素晴らしいと思うであろうベン・アフレックのハマりっぷり
なるほどこれは現代版バットマン任せたくもなる
主演がこんだけしっかりと演技キマってるとそれだけで重厚さが出て、人間ドラマとして成り立つ
バカ映画スレスレの話がギリギリ地面から浮いてないのは他のキャストさんの演技も素晴らしかったのもあるな

突飛な展開が続いても、やりたいこと、伝えたいことの筋は一応通っている
人と人とのつながりの賜物の話
業務上の会話や殺しに関しては無駄のない淡々とした主人公もやっぱり血が通ってるしそれは話も同じで、最終的には温もりすら感じるエンディングが待っている
脇の人物まで含めて大雑把に捉えると、人生についての物語でもあるな
JKシモンズのキャラクターと彼に弱みを握られた捜査官も、自分のためのチャンスだけどそれが人知れず何か大義を担うことになってる
社会を生きる様々な人間の居場所と彼らの営みの意義を描きだしてるね


前半のアート感、異常感が強烈
大人になった主人公がなんとかやっていけてるとはいえそれでも人とは違うっていう描写がわかりやすい
まさに自分の範囲や領域=スペクトラムが確固たるものである主人公が小さな鏡に収まってるとこなんか、いかに主人公の肩身が狭いかがストレートに伝わってくる
自宅での習慣が所謂普通の人にも若干耐え難いことだから、よっぽど無理に克服しようと努力してきたんだろう
救済産業を成長させてると謳いながら実は他人の幸せを不正に奪っている押し付けの偽善の理念ポスター的なものの前に死んだ顔で立つ主人公と社長の会話も面白かった

主人公の人間性が非常に観客を引きつけて夢中にさせる映画ってのがもういい映画
農家の夫婦の敷地で一悶着あった後主人公が去る時に夫婦に対してする仕草には爆笑しました
無垢な善人に対する態度は基本可愛い
裏社会で生き残れるだけの力があり且つ淡々と自分の仕事をこなすだけの男には絶対たまたま出会ったカタギの女性に惚れて欲しいもんだよな!
アナ・ケンドリックがまたちっさくて登場時徹夜で机で寝てたりで可愛いし、二人きりの会話シーンでの、ひとときの幸せのための投資について語り合うところとかお互いの人間性がフルに出てて萌える
彼女の元を去るところとか切なすぎるし
強権的な父との歪んだ関係も鉄板だけど話と濃厚に絡むからドラマティックで、抵抗しなければ好かれると思うなとか割と主人公を形成してそうな格言もあったりする
クライマックスのある人物との会話シーンは悲しき家族の姿を再び垣間見るとともに今後に光も少し見える
先述したように、やっぱりこの作品は立派な人間ドラマなんですよね


彼らは異常ではなく、違うだけなんだと
そんな彼らを取り巻く人間にもそれぞれのドラマがあるし
形や表現が変わっていても、誰にでも同じ幸せがあり、守るべきラインがあるんだと
無駄のないアクションとマイノリティーのドラマ、そして意表を突かれる展開の超エンタメなシナリオの歪な映画ではありますが、面白いのは間違いないですしいい映画なのも間違いはないです
好きです