dm10forever

レゴバットマン ザ・ムービーのdm10foreverのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

【LEGOだと思って舐めてると火傷するぜ】

LEGOがモチーフのアニメは今まで何本かありましたが、扱うタイトルがスターウォーズだったりして「世界観が壊れちゃう」なんて思いから食わず嫌いしていました。
『ど~せLEGOだし、子供向けのマイルドな内容と適度なお下品ギャグ(お尻とかウ○チみたいに響きだけで子供がギャハハと笑うような)なんだろ』と。
 
ただ、なんか気になっていて・・・。もともとDCシリーズは凄い好きで、中でもクリストファー・ノーラン版のバットマンシリーズはDVDで繰り返し何度も観るほど大好物という事もあり、「どんなもんかい?」と、あくまでも≪軽~い気持ち≫で鑑賞しましたが・・・。

 これね、単なるアニメでは片付けられないくらい、結構本気の映画ですよ。
基本的なテイストは『コメディ』であり『ギャグ』です。
全編を通して「リアル」バットマンでは決して描けないような雰囲気なんですが、逆にLEGOというフィルターを通したことで、今まであえて霧に包まれていたような核心(本質)にズケズケと入って行きます。

  ノーラン版で大ヒットした「ダークナイト」でもありましたが、バットマンとジョーカーのやり取りの中で「お前も俺も大差はない」というやりとり。
要は「普通の持たざる人間」ではなく「力を与えられた存在」として、今までもそしてこれからも「普通に生きていくことなんか出来ないんだよ」という、ダークヒーローであるが故の宿命ともいえる禅問答にバットマンは「孤独を選ぶ」という選択をします。
これはDCのヒーローやヴィラン達全てに言えることですが、全般的に漂う独特のほろ苦いテイストですよね。

ところが今作では、その「孤独」というものに「本当にそれでいいの?」と真正面から疑問をぶつけます。
それもあのジョーカーが。
お互いを特別な存在だと認め合っているからこそ「ヒーロー」と「ヴィラン」として成立する構図だと思っているジョーカーに対し、バットマンは自分には特別な存在は必要ない(また失うのが怖いから)と感情的な弱い部分をみせます。
これはリアル版でやるとまた違った方向に行っちゃうかもな・・・。

またリアル版では、あれだけバットマンがゴッサムで悪を退治しているのに全然に平和にならないというのは薄々感じてはいましたが、あくまでも「そういう荒廃した街だから」というテイストで丸め込まれていました。
ただ今作では市民が普通に「全然平和になってない」と言ってしまっています。
こんなシュールな台詞は普段LEGOブロックで遊んでる子供にはわからんだろうな~と。
激しい(?)戦いの中で、バットマンは「自分がみんなを助けているのではない。みんなが俺を助けてくれていたのだ」と気が付きます。
いいオチだと思います。
そしてLEGO版じゃなきゃこのオチまで持っていけなかったと思います。結構好きかも、この映画。

最後に。
「アイアンマンのば~か」はメチャクチャ笑った。
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