海老

レゴバットマン ザ・ムービーの海老のレビュー・感想・評価

4.4
この作品、本当に素晴らしい大傑作だと思います。
ダークナイトトリロジー三部作のレビューを書き終わったら、本作のレビューを書き直そうと決めていました。(再投稿です)
もっと多くの人に知ってほしい。

レゴシリーズです。あのブロックです。踏んだら痛いアレです。
なのに、しっかりバットマンシリーズなんです。

レゴゆえ、子供向け作品として幼稚なノリを想像する方が多いんじゃないかと思います。僕もそうでしたし。
とんでもなかった。これは、バットマンというダークヒーローの生き方に対する、ある一つの解なんじゃないかとさえ思えます。

レゴだからできること。
コメディタッチゆえに多弁なバットマンとジョーカー。本当は寂しいのに素直になれないバットマンと、自分と共依存の関係であることをバットマンに認めさせたいジョーカー。大の大人が演じたら不自然になるだけのストレートな表現も、レゴだから何も違和感がないし、その外見を武器にバットマンという人物像の深部に平気で踏み込んでくる図々しささえある。ダークナイトでは正義のために孤独を選ぶバットマンですが、「別に酔狂で孤独を愛しているわけじゃないんだよ」という本音に徹底的にスポットライトが当たります。コミカルなのに、レゴなのに、こんなにも切なく愛おしい。

勿論コミカルなテンポはそれだけでも楽しいです。僕が観たのは吹き替え版ですが、緩急の関係か台詞回しの関係か、聞いているだけで心地よくなる抜群のリズム。時折挟まるジョークも決して子供向けと侮れない。レディプレイヤー1並みに、途方もない数の他の映画キャラクターも出てくるのも楽しめます。これ許可とってるんだろうか。つっこんだほうが負けという感もありますが。笑

そして、アクションシーンの数々では、急遽、建物のパーツから乗り物を組み立てるなど、レゴならではの闘い方もしっかり描かれています。特に最後の美しいほど雑なオチはレゴじゃなきゃ絶対に許されない。レゴの外見で人物を描くだけでなく、ブロックである本質もきっちり活かす無敵っぷり。

I hate you ≒ I like you
バットマンという人物、ジョーカーとの関係、家族を持つこと。最後に想いを自分の言葉で語るバットマンを観たときは視界がボヤけました。気が付いたら、笑って、泣いていた。

ティムバートン監督の作品もクリストファーノーラン監督の作品も観た今だから言えます。
それらの名作とベクトルは違えども、ラインナップに並んでも全く褪せない名作です。
無名なことが勿体ない。

もっと多くの方に観てもらいたいという想いを込め、バットマン作品連続投稿の結びといたします。
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