たつなみ

レゴバットマン ザ・ムービーのたつなみのレビュー・感想・評価

4.5
『アベンジャーズ』最新作公開の中、敢えて鑑賞。
LEGOだからと言ってナメてはいけない。
映画秘宝の『2017年度映画ベスト10』で見事9位に選ばれた作品。
また高橋ヨシキさん曰く、『あらゆるバットマンの映画作品の中で、最もバットマンの心理を忠実に描いている作品』。

ここまでキッチリと”バットマン“という存在を掘り下げて描き切っているとは思いもしなかった。
確かに本作を観るとバットマンというヒーローに物凄く親近感が湧いてくる。

豪邸で孤独に暮らし、スーパーマンにバカにされ、ジャスティスリーグからもウザがられるバットマン。
孤独だからこそ、自分が大好きで1番だと思ってる。
人を好きになるのも身勝手で一方的。
更に、バーバラによってゴッサムシティの悪が一掃されそうになると、法を破ってでも自力で悪人どもを葬ろうとする。
もはや彼は正義のヒーローと言えるのか?とすら思えてくる。

ジョーカーはそんなバットマンの最大の敵でもあり、理解者でもある。
『ダークナイト』でノーランも描いていたが、バットマンとジョーカーは正に”似た者同士“(裏表ではない)と言える。
お互いが居なければ存在することが出来ない。
2人は死ぬまで憎み合い(愛し合い?)のゲームを続けることになるのだろう。

ストーリーはそんなバットマンの完全なる一人相撲で進んで行く。
世界の危機はバットマンのエゴが引き起こしたもの。
でもそんな最低な男に”家族“と呼べる仲間たちが手を差し伸べる。
この作品は、ブルース・ウェインという男が葛藤の末、やっと大人に向かって歩み始める物語だ。
『自分は一人じゃない』という、実にハリウッド的な物語だが、”悲劇のヒーロー“バットマンだからこそ、この結末は感動的だった。

LEGOなのでコミカルで自虐的なギャグ満載だが、実は骨太な傑作。
製作陣のバットマンを愛する気持ちが伝わってきた。

追記
キャスト見たらチャニング・テイタムとジョナ・ヒルも参加してるじゃん!!