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ヒトラーへの285枚の葉書の水のレビュー・感想・評価

ヒトラーへの285枚の葉書(2016年製作の映画)
3.8
ゲシュタポの記録文書を元にしたベストセラーの映画化。実話ベース。

1940年6月のベルリン。ナチス・ドイツの戦勝ムードに沸く中、ある夫婦のもとに息子が戦死したと連絡がくる。失意に暮れる二人だったが、やがてヒトラー政権を批判するメッセージを葉書に書き、街に置く活動を始める。

みんなが「ハイル・ヒトラー」とヒトラーに服従する中での、静かな抗議活動。バレたら死刑と分かりながら、息子の死を悼み抗議を続ける夫婦の覚悟に、言葉にならない悔しさを感じた。

ハガキの枚数は全部で285枚
街人からの届け出で警察に回収されたのはなんと267枚。少なくとも18枚は、誰かが持ち帰り、その言葉に励まされたと思いたい。

この映画、皮肉にもヒトラーは全く登場しない。夫婦の声、戦死した兵士の遺族の声は、ヒトラーに届くことはないことを暗示してるみたい。

回収されなかった18枚を除く267枚全部を読んだ捜査官の行動に少し救われた。ヒトラー政権内の人を変えたのはこの夫婦の大きな功績だと思う。

ナチスの映画で、ユダヤ人が主題じゃないの、初めて観たな。静かにずしーんとくる映画でした。
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