このレビューはネタバレを含みます
一言でいうと、想像以上の映画だった。
いつバレないかと常にドキドキしてみた。
見終わった後も、ずっと心に重く何かがのしかかるような感覚だった。
暗く自由のない時代の中で密かな活動を通して心を解放させていく夫婦。なぜ最愛の息子が死ななくてはならなかったのか?親として疑問に思わないはずはない。人間としての尊厳を失わずに自分を生き通した勇気ある行動と信念に心を打たれた。
自分に同じことができるだろうか?
強い権力に流されて目立たないように生きていこうとする自分も戦争の加担者であり加害者なのかもしれない、と考えると恐ろしくなった。
静かな夫婦なのだけど、息子の死に泣き崩れる妻にそっとコーヒーを入れて置いて出かけるところや、ラストの方、死を覚悟した2人がそっと目を合わせて微笑み手を固くにぎり合うシーンなど、強い結びつきを感じた。
最後に、ペンとカードを、のセリフは鳥肌が立った。 そして、ラストがすごくいい。銃声が響いたのでそういうことか…と救われないラストだと思ったが、そのあと街中の人々がカードを拾っていくシーンで少しだけ救われた。
どなたかも書かれていたようにタイトルは原題のままの方がいい。無理にタイトルを付け替えず訳さなくていいからそのまま載せてほしかった。
最後に、内容とは関係なく、建物や部屋の雰囲気が興味深く、そういうところも自分にとってはみどころでした。
個人的に、洋画では食事をとるシーンがなぜか好きなので、息子のバースデーに2人で静かに食事をしているところも好きです。