ヒトラーへの285枚の葉書の作品情報・感想・評価

ヒトラーへの285枚の葉書2016年製作の映画)

Alone in Berlin

上映日:2017年07月08日

製作国:

上映時間:103分

3.6

あらすじ

1940年6月、戦勝ムードに沸くベルリンで質素に暮らす労働者階級の夫婦オットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のもとに一通の封書が届く。それは最愛のひとり息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった。心のよりどころを失った二人は悲しみのどん底に沈むが、ある日、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」と怒りのメッセージをポストカードに…

1940年6月、戦勝ムードに沸くベルリンで質素に暮らす労働者階級の夫婦オットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のもとに一通の封書が届く。それは最愛のひとり息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった。心のよりどころを失った二人は悲しみのどん底に沈むが、ある日、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」と怒りのメッセージをポストカードに記し、それをそっと街中に置いた。ささやかな活動を繰り返すことで魂が解放されるのを感じる二人。だが、それを嗅ぎ付けたゲシュタポの猛捜査が夫婦に迫りつつあった―。

「ヒトラーへの285枚の葉書」に投稿された感想・評価

cota216

cota216の感想・評価

2.8
現代の平和な日本で、明日を保証されたような錯覚の中で生きるぼくらは、
自分自身の行動に意味を見出そうとします。
意味を見出すとは、すなわち何かしらの結果を見込んで、もしくは求めて逆算的に計画するということだと思います。

だから、そうではない、すなわち、何も意味を見出さない行動を、命を懸けて行うことなど、頭では理解できても、どうしても腹にまで落ちてこない。
そんな映画でした。

たった二人の、誰に伝わるかも分からない、そして大きな危険が伴う行動。
目的は、「ヒトラー政権の打倒」だとか、「息子が殺されたことへの復讐」だとか、そんな大きな標題を掲げるには、あまりにも小さな活動。

でも、オットーの言葉に、全てが集約されていました。

「書かずにはいられない」

今、日本で囁かれている、「全体主義」的なものが、あまりにもちっぽけに見えるほど恐怖と欺瞞に満ち溢れた当時のベルリンで、家を一歩出れば信用できる人なんか誰一人もいない中で、彼らは最大の抵抗運動を、命を懸けてしたように思います。
やらずにはいられなかったんだろうな、と思います。
子供を持つとは、そしてその子供を失うとは、そういうことなのだろうか。

それまで、「ハイル・ヒトラー」を挨拶とし、党員たちとそれなりにうまくやってきてた彼らが、命を顧みず、抵抗運動を「せずにはいられない」状態を作った、子供の死。

ぼくが彼らなら?自分も同じようにヒトラーに対して復讐を試みるだろうか?それとも今までと同じように「無害な市民」として過ごしていくだろうか?それとも・・・?

反芻的に考えましたが、未だ答えは出ません。

将来子供ができたら、もう一度見直したい映画でした。
アメブロを更新しました。 『「ヒトラーへの285枚の葉書」ドイツ人全てがヒトラーを称賛していた訳じゃない!』https://twitter.com/yukigame/status/898933623969112069
EdoValens

EdoValensの感想・評価

4.0
Alone in Berlin という原題が印象的。
戦地で亡くなった息子の死がきっかけで、戦争をはじめた張本人であるヒトラーを攻撃する葉書を書き重ねはじめる…という話。でも、ヒトラー政権を倒そう!という正義感からの社会的行動というよりは、息子の死を乗り越えるための個人的な行動のように感じた。ベルリンが勝利のムードに包まれているという背景のなかで、毎日ストイックに夫婦で葉書を書き続ける姿は追悼であり、祈りだと思う。
戦争映画というよりは、1組の夫婦が息子の死という喪失に向きあってゆく過程を描いた映画のように感じた。
わさび

わさびの感想・評価

3.9
第二次世界大戦中のドイツで、ある一組のドイツ人夫婦の許に届いた、息子の戦死を告げる報せ。喪失感に打ちのめされ、ナチスに対して有り余る憤りと不信感を抱いた夫婦は、夜な夜な反政府の文言をカードに書き綴っては、街に置いて歩くという秘かな反戦運動に出る。

「ペンは剣よりも強し」ではないが、徹底した非暴力主義のもと、たった二人で285枚ものカードを書き綴り、言葉だけでヒトラーに抵抗した夫妻。その原動力となった哀しみの深さを思うと、胸が詰まる。そして、彼らの覚悟の固さと、互いを結びつける絆の強さにも、胸を打たれた。

本作は実話を基にした作品らしい。反ナチ映画は数多く観たけれども、ドイツ国内でレジスタンス運動を行った、如何なる団体にも属さない個人の話というのは少々珍しい気がして、興味深く鑑賞した。
物語を支える役者の演技も良かった。主要メンバーがエマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソン、ダニエル・ブリュール、ミカエル・パーシュブラントといった演技力の確かな俳優たちで構成されているお蔭で、最初から最後まで安心して鑑賞する事が出来た。

が、問題が一つ。夫婦の活動の全てが、息子を奪われたという「私怨」に因るものとしか思えなかった事だ。
抑々二人はどんなイデオロギーの持ち主で、どんな思いで戦争を迎え、どんな気持ちで息子を戦場に送り出したのか。そこが一切描かれていない為に、この活動の軸となった彼らの一番の目的は何だったのか、疑問に思ったまま終わってしまった。残念である。

今わたしの心を過っているのは、例の18枚のカードの事だ。僅か18枚でも、どうか、夫妻の言葉が誰かの元に届き、強く響いたのでありますように。
さち

さちの感想・評価

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2017.08.17

終盤の手のシーンが美しい。手だけであんなに表現力あるんだね〜凄!

最近記者役が多いダニエル・ブリュールのお役人👮役もよかったです。

会話はドイツ語じゃなく英語で喋ってたよね?謎〜

銃じゃなくてアレが出て来て震えました。
お盆休みでこれを。なんだろうなぁ途中数回寝た。
panpie

panpieの感想・評価

4.2
一人の若い兵士が森を駆け抜ける。
何度も何度も後ろを振り向きながら。
突然撃たれた!
若い兵士はやがて死んだ。


1940年6月ドイツではフランスが降伏して勝利ムードに沸いている。
国民が笑顔でナチスの国旗を手に降っている。

戦死した若者の両親に手紙が届く。
「御子息は名誉の戦死を遂げられました」
それを読んだ母親アンナは絶叫し手紙を破り捨てる。
妻の様子から息子の戦死を知り仕事へ向かうオットーの顔には涙は光っていない。
感情をぶつけるアンナと違う方法で悲しみや怒りを表そうとオットーは筆を持つ事を思い付く。
本に挟まっていたヒトラーの写真に添えられていた言葉に手を加えて別の言葉にするのだ。
ドイツ語は分からなくてよく覚えていないのだけど確か〝総督〟と印刷されていた文字を変えて〝人殺し〟と言う様に。
その日からオットーは葉書に書く筆跡を変え手袋をはめて用意周到に計画的に事を起こして行く。
「総督は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう。」と。
初めて葉書を階段の段差の所に縦にして置くシーンは誰か見ていないか見られていないか観ている私も早くして!とハラハラした。
とてもサスペンスフルだ。
妻にも内緒で行なっていたがある晩アンナがそれを見つけ自分も一緒にしたいと言うのだ。
戦争で息子を亡くした親の行き場のない怒りはきっと想像以上だろう。
戦争なんて望んでないのに息子を兵隊に取られそして死んだら一体何の為に私は産み育ててきたの?
戦争で死ぬ為に息子を産んだんじゃない!
アンナは最初は夫に見つかるからやめてとゲシュタポを恐れていたが同じアパートに住むユダヤ人の老婆を匿ったりするが通報され老婆は逃げ場を失い窓から飛び降り自ら命を絶つ事件を目の当たりにしナチスの歪んだやり方に次第に疑問を持つ様になり夫に協力を申し出る。
危険を伴うのでアンナを巻き込みたくないオットーは最初拒むが「あなたが捕まったら私は一人どうするの?死ぬ時は一緒よ」とアンナの覚悟を見せられ二人はやがて行動を共にする様になる。
実際葉書を置く所を目撃され追いかけられ(オットーがエレベーターで階下へ逃げるのだけど当時のエレベーターのエレガントな事!遅くて遅くて階段で追いかけてくるおじさんとほぼ変わらなくてイライラさせられた)寸前でアンナが機転を利かせオットーはが助かる場面もある。

今作は夫婦愛を描いたヒューマンドラマだが戦争によって息子を奪われた憎しみをドイツ人がヒトラーに向けていてしかも銃ではなしにペンで攻撃する様に驚かされ感動した。
ゲシュタポの記録文書を元に書き上げた小説「ベルリンに一人死す」を映画化したそうだ。
構想から映画化されるまで実に8年の歳月がかかったそうだ。
反ナチスを武力以外の視点で描いていてドイツ市民が皆ナチス党員だった訳ではなく少し前に観た「ローンサバイバー」を思い出した。
アフガニスタンの人が皆タリバンではないと言うのと同じだ。
走り出したナチスという汽車を恐ろしいと思っていてももう誰も止める事は出来なかったのだろう。
戦争はそうやって土台を形成していき国民が気付いた時には誰も世論で止められない、むしろ声すら上げられない状況が出来ていて逆らう事は出来ない。
逆らえば殺される。
恐ろしい。
でもドイツ人にアンナとオットーの様な夫婦がいてもいいと思った。
勇気ある行動だ。
誰にでも出来ることではないと思う。
息子が全てだったのにそれを失って生き甲斐がなくなり生きる意味すらなくなった夫婦はドイツ国民に命を掛けて訴えたのだ。

犯人だとバレて拘束され別々に収監され裁判所で久しぶりに顔を合わせた二人は見つめ合い手を握り合い言葉少なに笑顔を交わす。
死に向かっている束の間最期の別れは辛かった。
でも最期に一目会えて本当に良かった。
涙が止まらなかった。
そして死刑が銃殺でなかった事にとても驚いた。

葉書を発見してやっと犯人を捕まえたエッシュリヒ警部役のダニエル・ブリュールも良かった。
凄い執念で追いかけるが目撃者が現れてもなかなか捕まえられなくて苦悩する姿がうまかった。
そしてミカエル・バーシュブラントがナチスの親衛隊の上官をいやらしく描いていて暴力や脅しでエッシュリヒ警部にある決断を迫るのだけどもう顔がナチスのイメージもろでぴったりだった。
ドイツ人ではなくてスウェーデン人と知って何故か驚いてしまった程。

本当は285枚の葉書を書いたのに発見され警察に届けられたのは267枚。
残りは届けられず未だ市内に出回っていると言う事実に行き当たり自身もナチスの本当の恐ろしさを身を以て知りこの葉書は間違いではないと分かりでもオットーとアンナを死刑に追いやった一人が自分なのだと言う事実を直視出来ず自分の正義が歪んでしまった事に我慢ならなかったのだろう。
とても悲しいラストだった。

エマ・トンプソンもブレンダン・グリーソンの熟練の演技が重厚でなかなか見応えがあった。
素晴らしかった。


今年も終戦記念日が近付いてきた。
まだまだ観なければ知らなければならない戦争の史実や映画がたくさんある。
もっと知りたい。
来週公開されるキリアン・マーフィ主演の「ハイドリヒを撃て!」も楽しみにしている。
YK583

YK583の感想・評価

4.0
ラストは想定外だった。
ドイツ人なのにみんな流暢な英語しゃべるのね!
いわき

いわきの感想・評価

4.2
原題は"Alone in Berlin"。ベルリンでヒトラーを批判する男の孤独な戦いを描いた作品だと思っていたのですが、"Alone"は「二人きり」だったのですね。思いのほか夫婦愛の映画でした。
一人息子のハンスを戦争で失ったオットーとアンナの夫婦がヒトラーを批判する葉書をそこここに置くのですが、その際の夫婦の息の合い方、お互いがお互いの役割を理解し、そして守ろうとするさまは本当に見事としか言いようがありません。
また、戦争(というより全体主義)の犠牲になるのはこの夫婦だけでなく、捜査をする警官、裁判に携わる判事、同じアパートの住人などもそれぞれに苦しい思いをする様子が、特権階級たる親衛隊とその家族と対比されて、これまた見事に表現されています。
内容が内容だけにかなりショッキングな描写もありますが、夫婦で観るのもいいかもしれません。
2017.8.8.11 (48)
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