カント

アスファルトのカントのレビュー・感想・評価

アスファルト(2015年製作の映画)
4.5
フランス叙情コメディの秀作💡
切なくて優しくて、ちょっと笑える高度なエスプリ。3組の男女が織りなす奇縁を、丁寧に描く。

前半はフランス映画特有のBGMを排除した、淡々とした所作の描写が続くので退屈だけど…後半メッチャ面白い✨

▼ピカソ団地ヴェルレーヌ棟のエレベーターが故障。団地住民の総意で修理する事に。費用は1人496ユーロ(約6万5000円位)
ボサボサ頭のオジサンは2Fに住んでいてエレベーターを使わないので払いたくない。住民の総意で彼はエレベーターを使う権利を無くす。
しかし事故で車イス生活になるボサボサ頭。こっそりエレベーターを使う。そして深夜に出会う夜勤看護婦。

▼落ちぶれた女優ジャンヌ・メイヤー(イザベル・ユぺール62歳)と、はっきり物を言う隣人の学生。
昔、舞台で演じた15歳の役は諦めて、90歳の老婆アグリッピナを演じるように啓示を与える。

▼不時着したNASAの宇宙飛行士ジョン・マッケンジー。アルジェリア移民の老婆の元に居候させてもらう。TVのソープドラマのあらすじと人物相関をガンガンにネタバレする宇宙飛行士。楽しみにしていたドラマなのに見る気を無くす老婆。

▼エレベーターのボサボサ頭は、どうしても看護婦に会いに行きたい。エレベーターの故障。本当はエレベーターを使ってはイケない。二重の苦しみに苛(サイナ)まれた男の焦りと悲哀。
そのシチュエーションを生み出した脚本が秀逸!
フランスのコメディは、ほんのり毒が塗られていてレベルが高いなー。
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