銀幕短評(#415)
「アスファルト」
2015年、フランス。1時間40分。
総合評価 76点。
ひとは、チャンスは一度きりだと思いがちかもしれません。無用のプレッシャーを感じて。しかし必ずしもそうではない。とくに人生の成功(あるいは幸福)の意味合いは、ひとつの束にくくることは簡単にはできないし ときとともに変化するので、その成功のためのチャンスの芽は毎日の生活において 点在している。どこかに潜んでいて、見つけられることを待っている。つまり、チャンスはなんどでもやってきます。
成功と不成功について、いつか別稿でこう書きました。
「運よく かれは目的地にたどり着きました。希望のエンジンのガソリンが切れるまえに。しかし この世の中には 残念ながら希望のガソリンが尽きてしまうこともままあります。このものがたりも そうであったかもしれない。そのときは、すこしちがう希望をかかげて、すこし小さいエンジンをスタートしなければいけないこともある。しかしそれが不幸なことだとは 必ずしもいえない。」と。
フランス人もアラブ人もアメリカ人も、自分が失意にまみれてしまったと思い込んでいる。しかし、私たちはひとりで生きているわけではない。ひとに頼り頼られること、信じ信じられることを、忘れてはいけない。わたしたちは、ひとりでは生きていくことはできない。与え与えられることをためらうべきではない。
そんなメッセージを つよく感じます。