ま2だ

トゥームレイダーファースト・ミッションのま2だのレビュー・感想・評価

3.2
トゥームレイダー ファースト・ミッション、観賞。

ファースト・ミッション、と書いて「はじめてのおつかい」と読む。なんとも足元のおぼつかない新生ララ・クロフト=アリシア・ヴィキャンデルの振る舞いを愛でる作品だと思えばいろいろな瑕も美徳に反転するかもしれない。

冒頭で早くもヴィキャンデルのシックスパックが披露され、役作りへの意気込みがうかがえるが、その筋肉が効果的に使われることはあまりない。本作はタイトル通り、ララ・クロフト・クロニクルのエピソード・ゼロに相当し、格闘技とエクストリームスポーツを愛する貧乏少女、といった設定のララ・クロフトは一言で言うと「あまり強くない」上に、まだ父親の遺産も相続しておらず、ちょっと運動神経のいい系女子として、絶海の孤島にヒミコ(!)と行方不明の父親を求めて乗り込む。

アクションシーンの多くは愚直で泥臭く、基本シチュエーションを変えて気合いでジャンプするだけのララ・クロフト像はスタイリッシュとはほど遠い。場面を変えても戦う相手は秘密結社の傭兵止まりで、こちらのカタルシスも弱め。スリリングな展開もほぼほぼない。謎解きも20世紀的、牧歌的な内容と表現だ。

ただこれらは新ララ・クロフトから、等身大の苦痛を引き出す装置として凡庸さを前提として設計されているようにも思え、その観点から見るとなかなか奏功している。

予告編の時点からアリシア・ヴィキャンデルがジャンプの際に発する気合いの叫びのハスキー度合いに萌えまくっていたのだが、本編は彼女から掠れた呻き声や叫び声を引き出すことに、全編にわたって執心しているとしか思えない作りで、アクション映画としては凡庸でも、フェチ映画としてなかなか優秀だと思う。ぜったいわざとでしょ、これ。

ヒロインからこれでもか、と萌えの要素を引き出している点と、クリスティン・スコット・トーマスにおいしい役どころを与えているところが個人的な加点ポイント。特別面白い映画ではないが、萌えまくったのでそれほど腹も立たない。新ララ・クロフトの華麗な二丁拳銃さばき、続編で観ることができるだろうか。同じ座組みで作るのは若干厳しそうではある。
ま2だ

ま2だ