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サイドウェイのnetfilmsのレビュー・感想・評価

サイドウェイ(2004年製作の映画)
3.9
 家のドアを叩くけたたましい音で二日酔いから目覚めたマイルス(ポール・ジアマッティ)は、時計を見るも約束の時間に遅れ、焦って電話をかける。電話の向こう側では、ジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)が呆れた様子で彼の言い訳を聞いている。試飲会での二日酔いで目覚めた朝、マイルスは大学時代のルームメイトで親友のジャックと一週間の小旅行を計画していた。落ち目の俳優ジャックは初めての結婚を一週間後に控えている。2人はカリフォルニア州サンディエゴから、北部のワイナリーへとワイン・ツアーに出かける。土曜日、70歳の誕生日を明日迎えるマイルスの母親へ花束を持って行った後、日曜日の朝にファミレスで朝食を取り、サンタバーバラ郡へと向かう。車中で僕とヴィクトリアは失敗だったと漏らすマイルスは、2年前の最愛の妻との離婚のショックからまだ立ち直れていない。やがて車はヒッチング・ポストへ到着する。プレイボーイのジャックは土曜日に結婚する身だが、早速ウェイトレスのマヤ(ヴァージニア・マドセン)に鼻の下を伸ばす。ワイン通であるマイルスは1年半前にこの店に勤め始めたマヤとも顔見知りだった。彼女を口説こうとするジャックに対し、彼女は既婚者で大学教授の嫁だから近寄るなと言うマイルスの態度は真剣だが、プレイボーイのジャックはどんどん事を進めて行く。やがてステファニー(サンドラ・オー)に出会ったジャックは、4人での食事会を提案する。

 日曜日の結婚式までの7泊8日の男2人っきりの旅は、2年前の離婚のショックが癒えない男と、果たして本当に次の土曜日に結婚すべきかマリッジ・ブルーに陥る男との対照的なレイヤーを乗せながら走る。英会話教師のマイルスは、足掛け3年かけた750ページにも及ぶ小説を書き上げたところで、出版社からの返事を待っている。一方のジャックは仕事も下降線を辿る一方だが、土曜日に控える結婚式を前に、新しい出会いに期待している。まだ傷の癒えないマイルスに追い討ちをかけるようなヴィクトリアの再婚、大好きな赤ワインをしこたま飲んだ主人公は、マヤを差し置いて未練タラタラで元嫁に電話を掛ける。これまでの2本の映画にも明らかなように、アレクサンダー・ペインの映画では主人公たちは負け犬根性が染み付いている。あの子は気があるぞと言うジャックの助言にも、幸せだった結婚生活の刹那が吹っ切れない男はただただ戸惑う。グラスで飲み干したハイライナー、気持ちの晴れないゴルフの打ちっ放し、前祝いだと漏らし発覚した嘘と謝罪の言葉、財布を落として全裸で帰って来たジャックの焦燥。ハンバーガー屋でこっそり開けた61年産シュヴァル・ブランの哀れがマイルスの背中を一層寂しくさせる。『ハング・オーバー』並みの中年男2人の馬鹿騒ぎは、カリフォルニア一周の楽しさとワインに纏わる蘊蓄に彩られながら、中年男ゆえの哀愁に満ちている。出会いと別れを繰り返しながら、それでも人は生きて行く。