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ブラック・スワンのkojikojiのレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
3.7
2010年 アメリカ 監督:ダーレン・アノロスキー
キャスト:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッスル

 芸術作品を作るときの、この映画の場合はバレーなのだが、狂気とはこういうことなのだろう。
 前に「ファーザー」という映画で認知症を、認知症を患っている人の視点で描いた傑作の映画があったが、この映画はそれを芸術に置き換え、芸術を作り出す者の視点で描いた作品だと思う。

 第三者から見れば、ただの狂気が、究極の姿として、本人にはこんな風に見えている。そういうことなのだろう。

 バレエ『白鳥の湖』の主演に抜擢され、潔白な白鳥と官能的な黒鳥の二つを演じることになったバレリーナが、プレッシャーにより徐々に精神が崩壊していく様を描いたサスペンス映画。

 ナタリーポートマンが潔癖な白鳥に収まっている前半は映画も退屈だ。繰り返される練習のシーンでは眠くなるが、徐々にブラックスワンを演じ始めたら、精神の崩壊と同時進行で映画がだんだん面白くなってくる。

 追い詰められ、追い詰められて彼女が真にブラックスワンになって解放されたとき、ナタリー・ポートマン自身の演技そのものが吹っ切れたように躍動感あふれるものになる。まさに、アカデミー賞ものの演技だ。

 ナタリー・ポートマンの代表作になった映画だ。

#2022-199
死ぬまでに観たい映画マイベスト1000-73
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