私を追い詰める、もう1人の私。
才能はあるが臆病なバレエダンサーのニナ。
母親からの行き過ぎた愛情を受て育ち、彼女の人生はバレエ一色。
そんな彼女が、白鳥の湖の主役に抜擢される。
しかし彼女は、白鳥の裏の人格である官能的な黒鳥を演じる事がどうしても出来ない。
その為の徹底的な役作り、彼女にはない魅力を持ったダンサー、リリーの存在。
それらが次第に彼女を追い詰める。
定期的に観たくなる作品!
何回観ても圧巻。
ものすごく怖いんだけど、ものすごく美しくて大好き。
追い詰められた人間の極限状態。
トップに立つ者が一番恐れるもの。
それは自分を蹴落とそうとする周りの人、過剰な期待。
そして重圧に負けそうになる自分。
ものすごく狂気的でゾクゾクする!
とにかく真面目で、面白みのない優等生タイプのニナ。
そんな彼女が、プレッシャーやライバルのリリーの影響で少しずつ狂っていく。
堕ちているのか、覚醒しているのか。
何かに取り憑かれたかのように狂っていくニナを見ていると、自分まで狂ったような感覚に陥る。
どこまでが現実で、どこまでが妄想なのか。
それが分からないのが面白くもあり恐ろしくもある。
ステージでのニナは、挑発的でありながら儚げ。
そんな彼女の姿に鳥肌が立ち、涙が溢れる。
この映画で泣ける!って人に出会った事がないけど、私は泣けて泣けて仕方がない。
プレッシャーを跳ねのけて、自分にも打ち勝ったニナ。
「完璧だったわ。」
最後の最後まで狂っていて、最高に美しい。
命を削って黒鳥を演じ切り、一番美しい姿のまま散って行ったニナ。
彼女は間違いなく完璧だった。
ナタリー・ポートマンがとにかく素晴らしい!
ニナを演じていく中で、彼女自身が本当に追い詰められているんじゃないかと思うほどの演技。
すごい以外の言葉が見付からない、それくらいすごい。
そしてライバルのリリーを演じたミラ・クニス。
コメディのイメージが強かったけど、彼女もすごかった!
奔放で官能的で、ニナのテリトリーにおかまいなしに入り込んでくる女。
ライバルなんだけど決して嫌な女じゃなく、どんな人でも虜にしてしまう麻薬のような女。
女から見ても魅力的で、本当に美しい。
美しい女性、華やかな世界の裏側。
見せかけとのギャップに背筋が凍る。