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ブラック・スワンのLATESHOWのレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
3.7
ダーレン・アロノフスキー監督の
精神をヤスリでザリザリ削りにかかるような圧迫感、
いつ観てもヘヴィ。

監督は今敏のファンだったそうで...
なるほど「パーフェクトブルー」だ。
もっと言えばポランスキー「反撥」、
クローネンバーグ、塚本晋也にも
影響受けているかもしれない。
だがそんなことはどうでもよくて
恐るべきはそれらの要素を
肉体でフルに表現できる
ナタリー・ポートマン。
顔のアップが多めで
やや暗い不安定なカメラが追うのは
臆病でプレッシャーに苛まれる
彼女の震える瞳であり
極限まで絞られた華奢な肉体であり
今にもへし折れそうな血が滲むトゥーであり
皮膚の下で収縮する筋繊維であり
浮かび出る肋骨、背骨、
割れる爪、傷痕
それらが精神の崩壊に伴い
徐々にセクシャルに
メタモルフォーゼを遂げていく姿。
加えて
かつて彼女のようなあどけなさを秘めていた
ウィノナ・ライダーの無残なる姿。
ヴァンサン・カッセル、
バーバラ・ハーシー、
(この人も昔霊に犯されるという
難役引き受けてたなぁ)
ミラ・クニスらが醸し出す獣性。
野蛮なる美とでも言うべきか、
監督の強迫観念じみた視点に
文字通り鳥肌。
サスペンス・スリラー要素
そっちのけで鳥肌。
(カメラワークで
その辺乗り切った感はある)

酔っ払ったシーンでの嬌声が下卑ておらず
どうしても可愛らしいってとこが
好きですナタリー・ポートマン笑
可愛いあの子の深層から
獣を引きずり出してやるからには。
真面目な子が完璧を求むると
壊れてしまうのは
今の世の中、ご周知の通り...。
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