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ブラック・スワンのkoyaのレビュー・感想・評価

ブラック・スワン(2010年製作の映画)
4.0
この映画は、完全に好き嫌い別れると思うのですが、きれいなバレエ映画と勘違いしてしまうととてつもなく気持ち悪いし、後味悪いかも。
しかし、心理サスペンス映画としては(またはもう、ホラー映画)すごく迫力があって、わたしは好きです。きっぱり。

観る者を圧倒させるだけの力はあると思います。
主演のナタリー・ポートマンがアカデミー賞の主演女優賞とった事が一番の話題かもしれないのですが、確かに、もう、ナタリー・ポートマン、ここまでやりますか?というくらい「やってしまう」のです。

この時、別の場所では・・がない映画で、映画はずっとナタリー・ポートマンを追い続ける。役者根性たっぷり見られます。もう、こわいわ。

 ニューヨークのバレエ団。新作は斬新な振り付けで古典『白鳥の湖』をやることになり、見事、主役に選ばれたニナ(ナタリー・ポートマン)
しかし、ニナの周りは不安に満ちています。白鳥の湖は白鳥と黒鳥を一人二役やらなければならない。

バレエの技術は、認められるものの、清純な白鳥はともかく、正反対の男をだます悪女である黒鳥の演技ができない、真面目一本のバレリーナ。

母の過剰な期待や、周りからのプレッシャーで自分を追い詰めすぎていることが、何かあるとすぐ吐く、そして無意識のうちに自分の身体をかきむしる自傷という行為になってしまっています。
しかし、何としても主役をやりたい、と自分に言い聞かせ、無理ばかりしていて映画冒頭から、追い詰められているニナ。

この映画で、重要なアイテムが鏡。バレエのレッスン場は鏡張りで、家も練習用に鏡がたくさんある。楽屋はもちろん鏡だらけ。
どんどん精神的に追い詰められるニナは、その鏡に映る自分をしっかりと見ないといけないのにそこに幻影を見るようになる。

そのシーンが、ぱっと一瞬怖い映像が現れて消える。そのタイミングが見事で、怖いながらも目がそらせないのです。
特撮でですが、どんどん自分の肌をかきむしっていく肌の傷がすごく痛々しいし、指の爪をはさみで切る時のはさみがまた、こわい。

バレエを実際やっていた、というナタリー・ポートマンですが、それでもプロのバレリーナ役は賛否両論だったそう。
ですが、バレエだけを見せる映画ではないので、これはこれでいいと思います。
 
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