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婚約者の友人のあのレビュー・感想・評価

婚約者の友人(2016年製作の映画)
4.9
配給 ロングライド
字幕 丸山垂穂

何重にも重なった層のような映画で 美しくて 巧い、巧すぎる

男性はいつの時代も知らないうちに女性を魅了して、そして知らないうちに傷付ける
(この映画をわたしはできれば男性にたくさん観てほしいし そして感想を聞きたい

登場人物全員に憂いが感じられるのは モノクロの映像だからかもしれない
カラーになるところもはっきりカラーではなくて 靄がかかったような色合いになるのもすごくいい
ピエール・ニネ、YSLの映画のときにすごく危うい感じがよくて もうピエール・ニネがヴァイオリン弾いたりドイツ語喋ったり泳いだり はぁなんて美しいの
ドイツ語は先日観たアトミック・ブロンドのマカヴォイよりも上手かった
彼はコメディ出身だからか 表情がほんとに豊かで ときにかっこよく ときに大嫌いになったりもする すごく魅力的な俳優さん
これから作品はぜったいに追っていきたい
ドラン映画とかにもぜひ使ってほしい

アドリアンが感じていた外国人ならではの疎外感然り、同様にアンナにおいてもその部外者であることの居辛さがうまく撮られていて
アンナが電車に乗ったときに荒廃した街並みとともに表れていて あらゆる角度からものごとを考えるきっかけになる

日本の宣伝の仕方はあまりよくない
これから観る方はぜったいに予告は観ないでほしい
後半の幾重にも重なる登場人物の想いの揺れや 悩みの交錯が あまりにもすばらしい
そしてふたつの国を行き来する人物たちを通して 戦争で遺された人たちを描ききる巧さ、お涙ちょうだいではない、でもしっかり反戦映画なのがいい

ノクターンの使い方や チャイコフスキーの使い方が非常によい

今年のベスト10には確実に入る1本

もとになったルビッチの映画も観たい
オゾンは女性の心情を丁寧に描くことができる数少ない監督 だからすき

アドリアンと3重奏したあとの部屋のシーン、アンナといっしょになんかものすごく泣いてしまった ピエール・ニネほんといいキャスティング

オゾン、過去作マラソンしよう
満点にしたいのだけど このあとノクターナルアニマルズを観てインパクト負けしたので
あ