奈

婚約者の友人の奈のネタバレレビュー・内容・結末

婚約者の友人(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

オゾン監督の、女性の美しさと複雑さを表現する手腕にはいつも恐れ入る。
フランツの思い出を語る時だけカラーになる映像は温かく、美しかった。最後は違ったけど。
残酷で優しい映画だった。
ただ、終始一貫して登場人物から温かさと優しさを感じはするけれど、純粋さからくる優しい嘘でも重ね続ければ残酷な気もする。告白の時の神父の言葉は、アンナを慰める優しく寛大なもののようで、彼女を無意識に残酷な存在にしていないだろうか。彼女が嘘をつくことに罪を感じなくさせたのではないかと思う。
残酷といえばアドリアンも。どんな状況にあろうと彼女がアドリアンに好意を寄せるのは当然のことだと思う。弱々しく、思いやりがあり、フランツの家族と婚約者のために、純粋で優しい嘘をつく。弱みを見せ、全てをかけて赦しを乞いにくる姿に女性が心打たれるのは、フランツの父ハンスとは対照的に、母マグダが最初からアドリアンを受け入れていたことでも明らか。でも、その行為も結局は、アドリアンが自身のためにしたこと。これは本当に優しいのだろうか。

この映画で一番つらい立場にあるのはアンナ。もう一度観たい。
奈