sai

婚約者の友人のsaiのレビュー・感想・評価

婚約者の友人(2016年製作の映画)
3.7
戦争後、残された者たちの悲しみや国同士の憎み合いなどが強く残るドイツに、亡き婚約者を知る者が赦しを請いに訪ねてくる。
互いに葛藤しながらも事実と向き合い赦すとは何かを考える、全体的に哀愁漂う作品。ヒロインが健気。

戦後のドイツとフランスを描き、基本は白黒メインで映し出されるシーンはどこか全体的に哀しさがあるように見える。時折想いを馳せるシーンやバイオリンを聴くシーンは色が戻り、生気が戻ったような印象。

本来会うことなど無かった二人が、フランツをきっかけに知り合い、異なる立場で葛藤し苦しみ、乗り越えていく。もう少し落ち着いた時代だったら違う結果だったかもしれないけど、国が違えば抱える問題も根深く、個人レベルではどうにもならないことが多い。
切ないです。
アンナもアドリアンも、古さや不安定さを感じさせる白黒が似合う美しさを持っていて、どんなシーンでもどこか儚げで美しい。作品の内容からしても、カラーでは無いからこそ良い雰囲気になっている気がした。
個人的に、アンナを本当の両親のように可愛がる診療所の夫妻が素敵でよかった。暖かい。
その夫妻の為を思い嘘をつき続けるアンナも健気で良かった。
哀しいけど美しい話です。
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